八十八話 ジュラ島14

船に戻るのは間に合わないと判断した

俺達は、日も落ちてきた為、

晩飯を確保していた。



俺は山菜を、

帝国精鋭隊の彼女は肉集めと分担して

行動していた。



「ピピッ!」



ちなみにペルーも手伝ってくれた。

虫しか採って来ないけど。









「いただきます。」



普段からこういう作法をして

いるのか、彼女は丁寧に

食の前の「いただきます」をした。



特にそれ以外俺達は言葉を

かわさなかった。



今後のこととか色々話すべき

ことはたくさんあるのだが、

どうも彼女は俺と目を合わせようとしない。


まあ、別にいいんだけどね。


俺は悪く無いし。あの魚人が悪かった

んだし。



「ピッピッ。」



「うまいか、ペルー。」



そんな息の詰まりそうな雰囲気だったが、

ペルーがこうやって時よりぴっぴ言うので

沈黙はあまり無い。



「ピッ!」



まあ、何とかなるだろ。



ペルーの無地気な姿を

見てると何故か緊張が溶けてそんな

ことを思ってしまう。



「......ところで......」



すると、驚いたことに

彼女から口を開いた。



「君の名前は確か隼人と言ったか。」



「はい。」



「隼人、その鳥は一体何だ。

君の非常食か?」




「ピッ!? ピピピピ!!」



さっきまで美味しそうに虫を食べて

いたペルーがその言葉を聞いて、

俺の背後に隠れる。



「いえ、この鳥は友人から預かった

んです。」



「預かった?」



「えぇ、この鳥をフリーズランドに

連れていってやるために。」



「フリーズランドといえば、

最も上の大陸に近い島ではないか。

その鳥の故郷か?」



「はい。」



「そうか......怖がらなくてもいい。

食ったりはしないさ。」



俺の背後に隠れてしまったペルーに

優しく彼女は声をかける。

その言葉を聞いてトテトテと

ペルーは出てくる。



「今はな。」



「ピッ!?」

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