七十九話 ジュラ島5

一つは墜落し、もう一つは

ジョット機のような速さで

空へと飛び上がる。



「なんだ!? どこ行きやがったんだ!」



「一つは近くに落ちたのだよ。」



皆が姿を消した、謎の物体

に翻弄される。



「兄様!! 上だ! 上!」



タチアナの慌てた声でバーゼンは

空を見上げる。



すると、空高くに消えた一つの

謎の物体が高速でこちらに

飛行してくる。



ガチャガチャと二つの銃口が付与

された状態で。




「あれを打ち落としてくれ!!」



「っ! 無茶を──」



そうは言いつつもバーゼンは

一発、なんとか謎の物体に

向かって撃った。



しかし、俊敏な機動

をする謎の物体はそれを軽々とかわす。



「さっきと動きが違いすぎるのだよ。」



バーゼンの努力もむなしく、

その謎の物体は隼人達に向けて、

射撃を開始した。







「っ! ペルー! こっちだ!」



隼人はまず第一にメグから

預かったペルーを、抱き抱えて

守る。



ダダダダダッと容赦の無い攻撃で

舞い上がった砂が辺りを覆う。



「サッちゃんさんや牛喜さんは......」



隼人はそんな辺りがよく確認でき

ない状態で、他の者を探す。



「いてぇ!! いてえよ!」



すると隼人は足元で

銃撃をくらい、倒れている

職業者を発見した。



「ヒール。」



隼人はもしかしたら周りにも

怪我を負っている者がいるかもしれないと

思い、広い範囲でヒールをかける。



「た、助かった。ありがとう。」



「そんなことより、ここから早く離れて。」



「あ、ああ。そうだな。」



隼人がそう催促した時だった。



「ああ!!! だ、誰か!!」




砂ぼこりで見えないが、別方向で

誰かの悲鳴が聞こえる。



隼人はその悲鳴の方向に向かった。



「や、やめろ!! 離せ!!」



隼人が駆けつけたそこには

墜落したもう一つの謎の物体が

悲鳴をあげる職業者を押し潰そうと

している。



空を高速で飛ぶ謎の物体とは

違い、この謎の物体は

でかい蜘蛛のようだった。



「おい! こっちだ! こっちに来い!」



隼人は砂が舞って上手く周りが

見えない環境とペルーを抱えた

今の状態では戦いにくいと

判断し、この謎の物体の

注意をひいて、森のなかでまこう

と考え、わざと大きな声を出す。



すると、隼人の計画どおりに

その謎の物体は押し潰そうとして

いた職業者から離れ、

森の中に逃げた隼人を追いかけた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る