四十四話 選抜試験3

「ここが、試験会場か。」



俺は他の職業者達の後をついて行き、

なにやら野球ドームのような建物に

たどり着いた。


俺の先をゆく職業者達はその建物の

入り口にある駅の改札口のような

ところに自分のギルドカードを

かざす。



ピッと機械音がなり、改札口が開き、

続々と中に入っていった。


恐らくこれがステータス確認

なのだろう。



俺は他の者に習い、改札口にご丁寧に、

カードをかざしてくださいと書いてある

板に、ギルドカードかざす。



ピッと先程の音が鳴り、改札口が開いた。


内心ステータスが高すぎて壊れるんじゃ

ないかと思っていたが、何事も無く、

俺は試験会場に入れた。



ガチャ、と重い扉を開け、室内に入る。


中には選抜された職業者と我こそはと

俺同様、参加した回復魔法士の者が

各々待機していた。

見渡すと、前回の緊急任務で

一緒だった……たしか……

アスナ、トッポ、ビルメと 

呼ばれていた騎士達が目に入る。


当然、あちらは俺のことなんて

覚えてないようで、誰か入って

来たとぐらいにしか思ってないだろう。



それから試験開始時刻になるまで

選抜者以外は名前を周りにいる

兵士に報告しなければ

ならないようなので、報告した後、

俺はまたスキルを覚えるため本を

読んでいた。



「これより、選抜試験を開始します。

選抜者及び、希望者の回復魔法士は

速やかに中央広場に集まってください。」



一人の兵士が俺たちを呼びに来る。



彼の指示に従い、職業者は

建物の中央に向かう。


中央広場は例えるとサッカー場のように

観客席に囲まれ、広々と

した闘技場のような造りになっていた。



「お前らぁ! よく集まった!」



職業者全員が広場に到着すると、

高い位置に設置された

観客席から男の声が響く。



「すげぇ、カクバさんだ……」



「帝国精鋭隊の!?」



周りが彼を見てざわつき始める。




「おい、後ろの方にもまだ

誰かいるぞ。」



カクバと呼ばれた彼の後ろには椅子が

八席設けられており、

一席一席に人が座っていた。



おじいさんや杖を持った女、魔女帽子を

被って顔が見えない人、豪華な服を着た

チャラ男に目が細い長髪の男。

そして、俺が唯一知っている

タチアナ。

なにやら彼女にもたれかかって

寝ている女もいる。



計八人。雰囲気からして

彼らが人間側での最高戦力

の職業者達なのだろう。



「えぇーと! これから!

俺が名前を一人ずつ読んでいくからぁ!

俺の指示どおりに班を作ってくれ!

いいなぁ!?」



彼はでかい声で次々と名前を

読んでいく。



そして、この試験を受ける

俺を含めた合計28名の

職業者が四人一組の

七つの班に分けられた。

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