四十一話 鳥と少女11

「すみません、この自由参加って

のはどういう意味なんですか?」



俺は隣の男の職業者に尋ねてみる。



「回復魔法士は人数が少ないから

なんじゃないのか?

選抜されるほどの凄腕の回復魔法士

なんて聞いたこともないしなぁ。」




「なるほど、だから回復魔法士は

誰でも参加できるというわけか……」




「あ、でも、その選抜試験の前に

どの職業者もみな、ステータス確認が

あるんじゃなかったっけか?

なぁ、おい。」



彼は更に周りの職業者達に尋ねてくれた。




彼らから得た情報では、

回復魔法士は例外で誰でも

参加できるが、ステータス確認で

落ちると選抜試験は受けれない

らしい。




そのステータス確認については

恐らく問題無く突破できるだろう。

まあ、問題があるとすれば、俺の

MAXと書いてあるステータスを

他の者に見られないかぐらいだが、

ステータスの検査は魔法具で

やるようなので多分大丈夫だろう。




「どうだった? 隼人、名前あった?」



メグの元に戻ると心配そうに

聞いてくる。



「名前は無かったが、回復魔法士は

誰でも参加できるそうだから、

俺も選抜試験を受けれるよ。」



「ほんと!? よかったぁ……

頑張ってね!」



「あいよ。」





「お兄さ〜ん。」



すると、受付嬢が俺達の元に

走り寄ってくる。



「なんですか?」



「受けることにしたのかい?」



「はい。」



「それはよかった〜。

ところでさ、お兄さん、そろそろ

職上げてみない?」




「職上げですか、そうですね……

そろそろ俺も中級になっとこうかな……」



「いやいや、お兄さんなら

すぐに上級職になれるじゃな〜い。」



「え? 隼人ってそんなに

レベル高いの?」



この世界で俺のレベルがMAX.

つまりレベル999なのを知っているのは

唯一受付嬢だけだ。

そんな彼女は俺に中級を飛び越えて

上級職にならないかと言ってきた。



それを聞いたメグが少し驚いた

顔で俺を見てくる。




「え、あ、あぁ……まあな。」



「ね! なんレベ? 隼人の

レベル見てみたい!」




「わしも知りたいな。

ハルナがここまで信用してる

男なんだ。」



ガビルさんまでその話題に

くいついてくる。



「い、いや……それは……」



「ざんね〜ん。それは秘密です。」



俺が、誰にも言わないでくれと

お願いした事をしっかり覚えていて

くれたようで受付嬢が助けてくれた。



「えー、そうなのー。」



「ささっ、お兄さん、カウンターの

方においで。」



頬を膨らませるメグを尻目に

俺は受付嬢に下の階に連れて行かれた。

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