第12話 ヨウ鋼鉄
「ヨウ鋼鉄ねぇ」
こぼれたヨウ鋼鉄の1つを取り出し女主はホンモノかね~と見ながらじっくりみる。
階段下の奥に扉がありファンリーに見えない様に用心棒は扉前に待機していた。
「おい、ヒョン爺をよんできな」
女主に声をかけられて用心棒は「はい」と返事をして奥の扉をあけてどうしたらこんな髪の毛になるんだともさもさの白髪頭のヒョン爺と呼ばれる老人をつれきた。
「なんのようだ。わしは忙しい」
面倒くさそうに女主の横に座る。
「役に立たない研究なぞしてるだけだろ」
ほれっとヒョン爺に女主はヨウ鋼鉄を渡す。
ヒョン爺は作業着をごそごそ探しながらルーペを取り出す。
「おい。こりゃ~。ヨウ鋼鉄じゃねぇか」
石をさわりながらじっくりみる。どかからかルーペをだしじっくりみる。
「いいものだな。これで金貨45枚ってところだな。にぃちゃん」
嘘だろう。
ヨウ国からヤカモズ帝国に輸出される金額は決められている値が下がるどころか一般に出回るならもう少し高くついてもいいぐらいだ。
「ヨウ鋼鉄だぞ」
「ヤカモズ全体ではしらないがここヤカモズ帝国の東を中心にヨウ鋼鉄は値を下げている。これでもよい物だから少し価格をあげているぐらいだ」
価格が1割以上もさがっている事にファンリーは愕然とする。そしてこれ以上ここで時間をかけられない。
「、、、45枚か、後金貨5枚はだす。それでいいか?」
女主は考える。成熟しきってないその手が好きな男の顧客はつくだろうな~。だが金貨50枚ならものよっては5人、今のご時世なら10人弱買えるかもしれないね~。ユナ一人身請けの金額で、、、いいね~。
女主は顔にニマニマと笑いがとまらなくなる。
「いいだろう」
女主は快くうなずく。
ヒョン爺はヨウ鋼鉄をみながら深刻な顔する。
「おぃ。にぃちゃん。お前さんの仲間か、お前さん自身かもしらないが、もうヨウ鋼鉄を売って何か調べてるみたいだがやめておきな」
「領主にばれてるのか?」
「ばれてはいないが、密告したやついる。俺はこいつを巻き込みたくないから忠告しておく」
ヒョン爺はじっと女主をみる。
「ヤカモズ帝国の東にヨウ国からヨウ鋼鉄は流れている。ヨウ国のどこからかはしらんがな。だから需要があるのに下がるはずのないヨウ鋼鉄の価値は1割以上も下がってる」
「お前さん達はそれの出所を調べてるんだろ」
なんかいろいろばれているな。でも今の所はそれだけか、姫の帰国のことまでばれてなくてよかった。
「そうだ」
「流してるのは正規ルートじゃない。じゃないと言えばわかるだろ」
「ああ」
ヨウ国内でヨウ鋼鉄を流せる立場の奴、ヨウ国でもかなり身分が上だ。敵がわかっていない以上は今動くのは危険だ。東の領主とつながっているヤツがいるってことか。
「金貨1枚追加な」
「え」
ファンリーは口をぽかんと開ける。
「情報料だ」
ヒョン爺は顎に手をあてて大きくふぉふぉふぉと大きく笑った。
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