第9話

「彼なのですね?次の仲間は・・・・」

ヒロにはわかったみたいだ。

さすがゴウだ。


導いてくれるなんて・・・・。


そして見事敵を追いやったケン。

だがしかし・・・まだ自分の力を信じていないみたいだ。


「敵はまだ潜んでいますよ?」

「いいじゃねぇか。俺たちの出番だ」

ケンの周りに再び魔物たちが寄ってきた!


「ま、まだいるのか・・・」


ケンは戸惑いながらももう一度さっきの力を使おうとしていた。

「待ってください!!」


その直前でそれをとめたのは、ヒロさんだった!

「えっ?誰・・・」

ケンの周りに4人の男が立ちはだかり、自分を守ろうとしてくれている?

「あの・・・あなたたちは・・・」

「しっ、さっきの力は体力を失います。とにかくパワーを充電してください」

「えっ?どういうこと?」

「つまり、俺たちがこいつらの相手している間に力を貯めておけってことだよ。安心しな。全力で守ってやるから」

「・・・・はい・・・」

ケンは、何が何だかわからないまま返事をした。

「大丈夫です。僕らはあなたの味方です。これが終わったらちゃんと説明しますから、怖がらないで」

「そう。事情はあとで説明するからよ!」

「見えますか?敵の弱点・・・」

ヒロは、ケンに聞いた。


「うん。尾の先に赤い光が見えます」

「えっ?マジかよww。俺見えねぇや。なんか悔しいけど・・・」

「いいですか?僕らが合図するまでは動かないで」

「・・・はい・・・」

ケンは言われた通りその場から動かずにいた。

4人は二手に分かれ・・・

「みんな、剣を抜いて!」

ヒロの合図でみんなは剣を抜いた。

すると不思議なことにその剣はひとつの力で結びつき敵の弱点へと突き刺さった!!


【グォーーー】


魔物は苦しみもがいている。


「今です!!」

と、ヒロはケンの方を向いた。

「は、はい!」

ケンは、自分の剣を突き刺した!


そして、魔物は消え去った。



「小さいくせによくやった」

「・・・・」

「あの?どうしてここが・・・・」

「あなたに戦士の気配を感じました。5人目の戦士の・・・・」


「5人目?僕が・・・・」

「君は、水の国の者だろ?その紋章が何よりの証拠だ。だが、他国のものが他国に旅に出るなんてなんかあると思わないか?あんたもそうやって旅に出たんだろ?」

「・・・・はい」

「あなたの腰に提げている剣と、僕たちの剣は繋がっています。そう、かつての戦士を結びつけたように・・・」


「そっか・・・だからさっきひとつの光を生み出したんだ」

「しかしまだ、完全ではありません。剣と僕たちの心がひとつにならなければ真の敵には立ち向かうことは出来ません。それには、あと一人見つけなければならないのです」

「闘いを続けるってことですか?」

ケンは、戸惑っていた。

「でも、俺たちは生きなければならない。かつての戦士たちの意志を受け継いで!」

「しかし、たった1人で闘い続ける戦士の存在も気になります。何か聞いたことはありませんか?」

「いえ、僕はわかりません」

「そうですか」

「すいません。役に立たなくて」

「まだ、名前を聞いてませんでしたね。わたしは、ヒロ」

「俺はマサ。」

「俺はゴウだ。で、こっちが弟の・・・」

「ジュンです」

「僕は、ケン。よろしくお願いします」

「あぁ、よろしくな・・・・」

自己紹介が終わった5人は、空を見上げた。


いつのまにか夜になっていた。



そして、同じ頃1人付きを見ているのはヨシだ。


「なぁ?ミュウ・・・このまま帰らなくてもいいかな・・・・」

「ミュウ・・・・」

そんなことを呟くヨシの言葉を理解したのか寂しそうに鳴くミュウ。

「大丈夫。お前を残して死んだりしないさ・・・・」

「ミュウミュウ」

「お前が・・・ミュウがいてくれればそれでいいよ・・・。お前は俺のたった1人の家族だからな」

俺はもう、1人だ。

だが、ミュウは・・・

ミュウだけは家族なんだ。


空を眺めヨシは1人涙を流した。


ミュウは、そばで静かにしていた。


きっとヨシの心がわかったのだろう。



「綺麗な満月だね」

「綺麗な都・・・僕たちのふるさと・・・僕たちの帰る場所・・・」

「それぞれ違う場所で生まれたけど、こうやって巡り会えたんだ。これって偶然じゃないんだよね?きっと・・・・」

「そうですね。重い使命を背負ってはいますが・・・・必ず生きて帰る。

これだけをまず目標としていきましょう。僕たちの親がそうしてきたように・・・・」


「でも・・・僕は父の顔を知らない。今の父は僕を本当の息子のように育てくれた人だから。

父上と母上の友人だったらしいんだ」

「そうでしたか。」

「なぜ、かつての戦士たちが消息不明であるのか・・・実は僕にも分かりません。ただ、うわさではまだ戦い続けている人がいるのだとききました。その人が誰の親なのか・・・情報もありません」


「・・・俺の父も、今はわからないと言っていた。ただ俺に旅に出ろと。まぁ、せっかく愛した女性と夫婦になる誓いをしたばかりだったんだけど・・・・」

まさは少し寂しげに呟いた。

「そうですか・・・・。そんな大事な時に・・・・」


「けど、彼女は言ってくれたんだ。俺が帰るまで待ってるって。すごく嬉しくてさ・・・。やっぱりいいな、人を愛するって。力になるというか・・・生きる気力を与えてくれるって言うか。いや、恥ずかしいけど・・・あなた達なら聞いてくれるかなって」

照れながらマサさんは話してくれた。

「いいなぁ。愛し合ってるなんて。あっ!でもでも、兄さんにもいるよねぇ?気になってる女の子」

「こら、ジュン!余計なこと言うな」

図星なのか少し赤くなってる。

カッコつけているのだろうか?

「素直じゃないんだから。旅に出る時も一言も言わないで来たんですよ?冷たいよねー」

ジュンがからかった。

「皆さんにも大切な人がいるんですね」

と、ヒロ様は微笑んだ。

「いや、俺のは関係ないから」

と、ゴウは強がりを言った。


「今日はもう、休みましょう。明日の朝早く発ちます」

「それじゃあ、おやすみなさい」

「おやすみなさい」


みんなが挨拶を交し、それぞれの寝床についた。


夜は、ゆっくりと更けていった。

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