第3話
ケンは、1人どうしようか悩んでいた。
「ケン・・・」
「えっ?キョウカ?」
「ケンが私に話があるって聞いたの」
「えっ?僕は別に今は」
呼んでないはず・・・。
「何?愛の告白するんじゃないの?」
2人を合わせたのは紛れもなくサキ。
実はサキは、ケンに思いを寄せていたのだが・・・。
ケンがキョウカしか見ていないことに気がつき、応援しようとしていたのだ。
奥手なふたりが焦れったくてつい、せわをやきたくなるのだ。
「・・・ケン、もしかしてあのことを話すの?」
「サキ!なんで知ってるんだよ!」
「えっ?なんのこと?」
キョウカが聞いてくる。
「あのね?ケンのやつ、キョウカのために男を磨きに旅に行くんだってさ」
「私のためなの?」
「あっいや・・・キョウカのためだけじゃないよ?平和のためとか・・・自分のためとか・・・。いつ帰れるか分からないけど・・・・」
「そんな危険な旅なのに?まさか、1人で?」
「・・・いや、途中仲間を探すよ。父さんたちと目的は一緒かな」
「・・・・~~」
泣きそうな顔のキョウカ。
昨日見た夢と同じだ。
「・・・キョウカ、僕は・・・・」
と、キョウカと見つめあっていると・・・
「・・・そういうことは、2人きりの時にした方がいいみたいだよ?」
いつの間にか周りに村の子供たちが集まっている。
「ねぇねぇ?ケン兄ちゃん。どっか行くの?」
「そのあとどうするの??」
「わかった!キスだァ」
口々に言う子供たち。
「こら!早く帰らないとお化けがでるぞ? 」
と、僕は子供たちを追いかけた。
「(笑)どっちが子供なんだか」
サキがぼそっと呟いた。
「・・・・・・」
無言のままのキョウカ。
「大丈夫。ケンは帰ってくるよ」
「サキは・・・」
「えっ?」
「サキもケンのこと好きだよね」
「私は別に・・・」
「隠さなくてもいいわよ。あなたがケンを見る目は、恋する女の子だもの。」
「2人を応援しようと思っていたのに・・・(。>﹏<。) 決意したのに・・・」
「・・・えっ?サキ・・・」
「だって、お互い惹かれあってるのに、あんた達は、奥手だから・・・焦れったいよ・・・」
サキが泣き始めた。
「サキ・・・ごめんね」
「謝らないでよ・・・」
僕はと言うと・・・2人が見守る中子供たちとじゃれ合っていた。
この時間が長く続けばいいのに・・・。
その頃ヨシは、目を覚ました。
(天井・・・・?確か俺は、爆発に巻き込まれて・・・・ミュウを助けようとして・・・・・)
「ミュウ!」
「ミュウ?」
俺は勢いよく飛び起きた。
「・・・・・っ」
体に痛みが走った。
「ちょっと!急に起きないでよ。ビックリするわ」
「・・っつ。君は・・・?」
肩に激痛が走り・・・
「ミュウとは、この子のこと?」
「えっ?」
話しかけられて、初めてその人の顔を見た。
「・・・・・!?」
「なによ、その顔は」
「お、お前・・・女か?」
幻か?
「女だよ?あなたを助けた」
「助けた?ここはどこだ?俺、帰らなきゃ・・・・」
「まだ、ダメよ。あなたは大怪我してるし・・・」
「いや、でも・・・・」
「ほら、この子も心配してる。」
「・・・・ミュウ、良かった・・・・」
俺は、ミュウを抱きしめた。
「その子は、かすり傷だったよ。ご主人様のこと、ずっと呼んでいたよ?」
「・・・・ミュウって言うんだ。俺がつけた。ミュウミュウ鳴いてるから」
「ふふっ、そうだと思った。」
「森に帰そうとしたら、懐いちゃって」
「そう。ご主人様が好きなんだね」
「って、見ず知らずのあんたになにはなしてるんだろう・・・」
うかつだった。
「2、3日は、休んだ方がいい。」
「そんなこと出来ないよ」
「あら?女の子が嫌いなのかしら」
「別に・・・・」
「その怪我では、しばらく弓を射ることも出来ないと思う」
「・・・・・」
「・・・あと、お腹すいたらでいいから食べて?じゃあわたしは任務があるから」
「なんで助けた」
ヨシは聞いた。
「えっ?なんでって・・・・」
「俺は、ミュウが助かればそれで良かった。なんでほおっておかなかった!」
「変な人・・・。そんな人初めて・・・・」
「この国に平和が戻ればミュウのような動物でも生きていける」
「いいから今は、休みなさいよ。熱で朦朧としているだけよ」
「でも、俺は・・・・・」
「元気になったら、聞いてあげる。おやすみ」
「あっ!ちょっと・・・・」
彼女は部屋を出て行ってしまった。
なんで話す気になったのだろう。
なぜ、話せたんだろう・・・・。
だが俺はそれから深い眠りについたのだった。
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