絆物語

藤原葉月

第1話

ある日、突然光によって封印がとかれてしまった。

その封印から蘇った魔物たちは、"ある物"を手に入れるために散らばった。


そして、魔物を倒すために、6人の戦士が戦うことに・・・・。

しかし彼らはまだ自分の置かれた立場や運命が分かっておらず、最初はバラバラだった。


その力を、1つにしたのは・・


ー1人の戦士の【死】であったー



ある水の綺麗な国として知られる国の若き王子


がいた。

彼の名前は、【ケン】。

心優しく、無邪気な笑顔の彼は、自分は王子としての自覚がなく、一般市民と触れ合っていた。

そんなある日、ケンは、父に呼ばれた。



「父上、お呼びでしょうか」

「ケン、お前に指名を与える時が来た」

「使命?」

ピンと来ない、ケン。

「この間、この国に封印していた魔物がある力によって解かれてしまったのだ」

「えっ?」

ケンは、少し戸惑っていた。

「戦いを好まないのは、十分承知しておる。だがな、ケン・・・よく聞いてくれ。その魔物は、我が国だけではなく、この周りの5つの国へと散らばったのだ。つまり、6つの国で封印していた魔物が蘇ってしまったのだ」

「でも、僕は・・・」


「わかっておる。そのせいで母親が亡くなったんだったな」

「私は男なので、いつかは言われる時が来ると分かってはいましたが・・・でも・・・」

「そうだ、ケン。人は、母親だけではない。友人や、愛する者だってこの国にいる・・・」

「どうすればよろしいですか?」

「旅に出なさい。そして仲間を集め、情報を得るのだ。ケン、これは人と人とを結ぶ旅でもある」

王様は真っ直ぐに、ケンを見た。

「はい」


そう返事はしたが・・・



その夜、ケンは眠れずにいた。

なぜだか泣きそうな【キョウカ】の顔があった。

「なんて言うかな・・・彼女・・・」

奥手なケンは、彼女にまだ気持ちを伝えられずにいた。


一方、風の国の王子、【ヨシ】は、友人たちが開く合コンパーティというものに呆れていた。

「ヨシ、たまには参加しろよな」

「そうだよー!おまえは、案外モテるのに」


「言っとくが、俺は女には興味はない」


と、クールに交わす。

「嘘つけ。まぁ、そのうちきっといい女出来るって」

「と、とにかく、私は行かない」

と、ひとり行ってしまった。

「ったく、変わってるよな、あいつ。」

「人を信じなくなったんだからな。男でも・・・女でも・・・」

「・・・目の前で弟が殺されたんだから仕方ないか・・・・」

友人たちは、諦めて逆方向へと歩いていった。


「ダメだな。俺・・・どうやって接していいのかわからない・・・・」

そう呟くと・・・・


「ミュウ!」


ヨシの肩に小動物がでてきた。

どうやら、リスのようだが?

「よし、ミュウ、行くか」


誰にも見せない顔で、その動物に話しかけた。


「・・・あんな笑顔できるのにな」


友人のひとりが、そんなヨシのことを見ていた。

彼の心の変化に、みんなは戸惑っていた。


これから与えられる使命を、彼はまだ、わかっていないのだから・・・・。



ある街の片隅で、拳法をやっている少年がいた。

彼の名は、【マサ】

「お疲れ様。そろそろ休んだら?」

彼に話しかける少女。

「今、集中してるなら話しかけるなよ」

「相変わらず、冷たい」

「なんだよ、なんの用だよ」

「・・・・おじ様が呼んでいたわよ?」


「それなら、そう言えばいいじゃん」

「何よ!その言い方!」

「行くから、待っててって言っといて」

「なんで私が?」

「暇なんだろ?」


「暇じゃないわよ」


「可愛くねぇな」

「どうせ、可愛くないですよーだ」


相変わらず喧嘩をするふたりは、この国では将来を約束しているのではないか?と、噂をされている。


「事情はわかったからもう行けよ」

「もうひとつ報告があるの」

「なんの報告だよ」


マサは、興味無さそうに言う。


「あなたの想い人の【ケイ】さん、結婚するんだって」


「えっ?」

初めて動揺したマサ。


「奪うなら今なんじゃない?」

「なんで、知ってるんだよ」

「だって、ケイさんのこと、ヤラシイ目で見てるもん」

「お前に言われなくても・・・・」

マサは、反抗しようとしたが・・・

「私、お見合いするから」

「お見合い?お前が?」

ちょっと、バカにするように言うマサ。

「そうよ。とーってもいい人なんだから!」

「なぁんだ。もう、会ってるんじゃん。それなら、お見合いしたの間違いじゃね?」


「会ったわよ。優しくて、男前だった!少なくともマサよりは!」

「へぇー(꒪⌓꒪)、それはそれはおめでとうございます」


そんなことを言われ・・・

「そんな簡単じゃないわよ!」

「えっ?何が?」


「バカ!」


「バカとはなんだよ!バカとは!」

ナミは、行ってしまっていた。

「・・ほんとに可愛くねーやつ」


でも彼は、とっくにケイのことは諦めていた。

「・・・・分かってないのは、あいつの方じゃん」


彼が、父に与えられる使命のことをまだ知らないでいた、マサ。

そして、それを少し前に知ってしまったナミ。


2人の心は、すれ違っていた。


もう、こんな喧嘩は出来ないと思っていたから・・・・・。





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