第2話 見合いそして結婚

茅さんは33才だと言っていた。

お見合いだというのに顔も見せては貰えなかった。 子供の時に患った病気で顔に酷いアザが有り、髪も抜けてしまったのだと言った。


こんな二人が何で今さら……縁談話なのかと誰もが思うだろう。

これには本人達の意思とは全く違ったところで思惑が渦を巻いていた。

つまり後継者が居ないという事だ。


何でも、鈴木家は代々続く庄屋の家柄で、不動産が山のように存在し、最寄りの駅まで他人の土地を踏まずに辿り着ける程だという。

街中の土地、そして雑居ビルにマンション、更地に空き地、広大な公園、そして見渡す限りの山々……全てが鈴木家の持ち物らしい。

財を成してから16代目が茅さんの父親らしいが、茅さんの代で跡継ぎが途切れそうなんだと……


私は同じ鈴木という名字だが、その庄屋から土地を借りて土地を耕す小作人の家系……

誇るものは何も無い家柄なのだ。

庄屋の家柄の彼等からすれば、『NOと言わなければ何でも良い! 』というレベルの話らしい。


私がNOと言わないものだから……縁談話はトントン拍子に進んで、2週間後に結納、3週間後には婚礼の儀というスピード婚となった。


花嫁は囲われて末席からは顔も容姿も全く見えない程で、好奇の目に曝され無いように披露宴は本当に身内だけで催された。


白い頭巾を被った花嫁と二人きりになり、やっと落ち着いて話が出来るように成った。

私は彼女の心が平安になる事を願いながら言葉を選んで話をポツリポツリと進めていった。

避けて通れない……彼女の患ってきた病気の事を聞くだけで一晩を要した。

私は彼女と会話しながら手を握った。 最初は驚き恥ずかしがる茅の様子を確かめながら

「僕達は晴れて夫婦に成った。 だから隠すべき事は何も無い。 」

そう言って私は彼女をリードした。

心を解きほぐすのに二日かかり、彼女の胎を開く事が出来たのは三日目だった。

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