そうだ、書いておかないと!

 記憶がはっきりしているうちに、書き残しておこう。



 あれは確か10月半ばだった。実家の兄が突然ダウンした。40度近い高熱、頭痛がひどくて解熱剤があまり効かないという話。土曜の夜から発熱したということで、月曜日にすぐにかかりつけ医に向かった。すぐにインフルエンザの検査。(インフルエンザの予防接種は、まだ受けていなかった)陰性とのこと。1日かけて点滴を受け、熱は少し下がった。が、間もなく再び上がる。翌日も医者で点滴。翌々日も点滴。再びインフルエンザの検査を受けたが、陰性。『大の大人が40度近い発熱を繰り返すなんて、原因がわからない』と医者も首を捻った。点滴生活4日目辺りから、ようやく熱が下がってくる。

 ところが、今度は兄と同居している80代の母が発熱した。ほとんど外出しない母。兄からうつったとしか思えない。やはりインフルエンザなのではないか?と、母も検査して貰う。結果は陰性。兄も母も、高熱、頭痛、吐き気と下痢。このうち、吐き気と下痢は1日~2日ほどで治まったが、熱はしつこかった。それでも兄は一週間ほどで回復したが、母の方は二週間近く点滴に通った。その間、どんどん咳がひどくなり、聞いていても明らかに悪化している感じ。肺炎を心配してレントゲンを撮って貰ったが、医者の見立てでは大丈夫とのこと。でもひどい咳。食欲もガクンと落ちて、プリンくらいしか食べない期間がしばらく続いた。

 結局、母の咳は1ヶ月ほどで治まったが、その後も半年ほど微熱が続いた。


 母がまだ寝込んでいた11月頃、仕事関係で出入りしている隣市の業者さんにこの話をした。すると、その業者さんの20代の息子さんも高熱を出して医者にかかったばかりとのこと。インフルエンザは陰性で、熱は1日で下がったものの、やはり医者が首を捻っていて『最近、何だかおかしな風邪が流行っている』と言っていたそうだ。インフルエンザとしか思えないような高熱が出るのに検査すると陰性で、治った後もやたらと長くダルさが残ると言う。そういえば、うちの兄も10月に発熱して、その後ひと月くらいダルくて仕方がないと言っていた……



・さて、なぜPCR検査を受けなかったのか?

・なぜ保健所には連絡しなかったのか?



 実は、上に書いたのは年の10月の話なのだ。

 まだコロナのコの字も話題になっておらず、私たちはもちろんのこと、医者も全く情報も知識も持ってはいなかった。


 新型コロナが世間で騒がれだした頃「あれがコロナだったんじゃないか?」と兄とずいぶん話した。隣市で流行していたおかしな風邪もそうだったのではないか?と。

 調べようが無かったから、あの時は。


 新型コロナウィルスは、2019年の12月に始めての患者が出たと言うことになってるらしい。個人的には、これはいずれ訂正されるのではないかと思っている。



 変異株が入ってきている。

 幸い、マスクも消毒用アルコールも、去年の今頃とは違い、潤沢に流通している。

 でも、忘れてはいけない。甘く見てはいけないと思う。

 アレは、普通の風邪なんかとは全く別物だ。全身に症状が出るし、あれだけ微熱が続き、ダルさが残ると言うことは、体の中に思いもよらない変化を起こすのだと思う。

 ほんとうに、正直、あの時は母に『お迎え』が来ちゃったと覚悟した。



 それから『新型肺炎』という表現は良くなかったと思う。肺炎はひとつの顕著な症状だが、一部でしかないと思う。なのに、日本では新型コロナ=肺炎みたいな図式が浸透してしまった。

 まだ、わからないことだらけだ。

『新型コロナは何でも有りな病気』だってことを肝に銘じておかないと。


 今年はどうなるのか。

 後で読み返したときに「あの頃は大変だったねー」なんて、振り返れる余裕が生まれていれば良いのだけれど。

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