第5話 幼い命
洋館の肝試しの後、みんなはお祓いをしてもらった。
悠愼の父親から、みんな怒られたものの特に男の子達は凄く怒られていた。
この瞬間は、かなり反省したとは思われるけど、しばらくは大人しくするのではないかと……
だけど、懲りていないと思う。
それから数か月が過ぎた、ある日の学校帰りの事だった。
スッと誰かが私の手を握った気がした。
温かいような冷たいような……
くすぐったい感覚が私の手に感じていた。
≪……今…誰か…私の手を…握った…?≫
手元を見るも分かりもしないし、見えもしない。
「………………」
私は気にしつつも帰る。
その途中 ――――
「悠季」
名前を呼ばれ振り返った視線の先には悠愼の姿。
ドキン
「悠愼」
「…なあ…その子は?」
「えっ?その子って?」
「…やっぱり…そうか…俺の所に寄りな」
「えっ?何か憑いてる?」
「憑いてる…」
「やっぱり…憑いてるんだ…」
「何か感じたのか?」
「うん…手元が今、不思議な感じ…何か誰かが私の手を握った気がしたから…こんな事なかったのに…不思議だなぁ~って……」
「そうか。その子が、今、俺の手を握った…」
「じゃあ間にいるんだ」
「そうなるな」
「くすっ…親子みたいな感じなのかな?」
「お前なぁ~幸せそうに言うなよ。霊相手に」
「成仏する前に幸せって良くない?」
「あのなぁ~」
私は悠愼の家に向かう。
スッと私の手元から離れた気がした。
「あれ?いなくなった?」
「先に行くって」
「そうか……」
そして、お堂に行く。
「ちょっと待ってな」
「うん」
しばらくして ――――
お祓いをしてもらう。
「小さな子供…まだ死んで日にち立ってなくて…お前の事が母親に思えたんだろう?もしくは、この人ならどうにかしてくれる…そんな感じだろうな…」
「そうか……」
「3歳~5歳の女の子。スッゲェ可愛いかった…若くて命落とすっつーのも本当可哀相だよな……」
「…そうだね…」
「もう大丈夫。さあ、帰りな」
「うん…じゃあ帰るね…」
「ああ…」
私は帰る事にした。
「悠季も…感じるようになったとなれば……更に危険を伴うかもな……」
「悠愼っ!」
「うわっ!ビックリした!何だよ!親父っ!いきなりっ!」
「彼女も随分と変わったな……」
「えっ?」
「前よりも良くなった!悠愼…お前に1つだけ忠告しておこう」
「何だよ」
「お前や彼女が恋愛対象に関係なく、感情の勢い任せで助けたい助かりたいと思った時…彼女の体は滅びるぞ!」
「えっ?」
「お互いの一方的な想い…彼女の周りの思いや波動が自分の想いだけではないと気付いた時…彼女の生命は奪われ死に至る」
「親父……待てよ…冗談にも程が…」
「いくつか、そういう例があるからな……頭に入れておくんだ。悠愼」
「……………………」
親父は去った。
「悠愼…人間とは本当に儚いものだよ…」
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