落ちこぼれテイマーの俺は、魔獣武装(ビーストアームス)で無双する。
鬼戸アキラ
第1話 魔獣武装って何?
俺は今ダンジョンの中層に飛ばされたみたいだ…と言うのももう少しで中層という所で仲間に裏切られてトカゲの尻尾切りに有ったのである。
「クッ!クソッタレ!何でこんな奴がこの階層に居るんだ!!」
リーダーのサハリがそう叫んだ!
その目の前にはオーガが居たのである。本来ならその階層のボスはハイオークである。それがボス部屋に入るとハイオークがオーガに喰われていたのだ。
「ギガス!!ヘイトを!!マリアナは強化と回復を!ニアは攻撃呪文を頼む!オイ!テメエはポーション用意してろ!!」
テメエと言われたのがポーターの俺、サルナスである。このパーティーでは小間使いの様に扱われていた。
オレは本来ポーターでは無かった…魔獣使役(ビーストテイマー)なのである。しかしながら魔力が少な過ぎてテイム出来る魔獣が居ないのだ。そこでオレはポーターとしてダンジョンに入り、少しづつレベルを上げようとしてたのだ。今でもテイム出来るのはスライム位である。そんなレベルの魔獣をテイムしても意味は無い…それではテイマーギルドに入り依頼をこなす事も出来ないのだ。
だから我慢してでもこのパーティーに居なければならない。たとえ小間使いの様に使われてもである。
しかしながらこの状況はヤバい。このパーティーのランクはEランクだ。リーダーのサハリはDランクだが他はEランクばかり…俺は一番底辺のGランクだ。オーガを倒すにはCランクパーティーでギリギリと言われている。つまりはこのオーガを倒す事は逆立ちしても無理なのである。
「ヘイトをって…無理だろ!!一撃も耐えられんぞ!」
「一撃だけで良い!ハイオークが殺られて下の魔法陣が動いてる!そこまで行けば逃げられる!!」
「強化したわ!!」
「クソっ!ヘイト!!」
オークを食べていたオーガはヘイトに釣られてギガスに迫る!
俺はイヤな予感がした…コッソリとポーション二本と毒消しマヒ消しを一本づつ懐に入れた。
オーガはギガスに一撃を入れた!ギガスはその一撃に耐えたが盾が凹んでいる。
その時ニアの攻撃魔法が火を吹いた!!しかも顔面にファイヤーボールを叩き込んだ!オーガは一瞬怯んだ!一時的に目が見えないのだ!
「よし、今だ!!魔法陣に逃げろ!!」
皆が逃げ出した!俺もついて行ったがサハリに蹴られて飛ばされる!
「ぐはぁ!!」
「ニア!ヤツに麻痺を!」
ニアは躊躇なく俺に麻痺を掛けた!やはり裏切ったか…その瞬間奴らは青く光った魔法陣で逃げ出し消えていた。
俺はサハリのセリフを聞いた時に既にマヒ消しを口に咥えていた。麻痺を掛けられた時にはもうマヒ消しを飲んでいたので麻痺には掛からなかった。奴らはこういう時にこうすると決めていたんだ…とにかく死なない様に逃げなければ!!
オーガは腕を闇雲にブンブン振るう。それが俺に少し掠った…が俺は魔法陣に吹き飛ばされた!魔法陣が”赤く”光って俺はその部屋から脱出した…。
俺はその飛ばされた場所の岩の色で此処が中層で有る事を悟った。何故中層と分かったのかと言うと、周りの岩壁の色が”赤い”のだ。コレは冒険者の血を吸った岩の色だと噂されている。しかし不味い事になった…とにかく何とか生き延びねば…俺は注意深く歩いた。
しばらく歩くと弱々しい魔獣の気配を感じた…俺はナイフを持ってそちらに向かう。そこに居た弱々しい魔獣は…スライム?こんな場所に?俺は驚いて良く見ると鉛色に光っている!コレはメタルスライムか?コレは珍しい魔獣に出会ったものだな…そのメタルスライムは大きな傷を負って殆ど死にかけであった。
俺は迷った…本来ならこのままとどめを刺せばメタルスライムの莫大な経験値が手に入るからだ。しかしながら俺はこのスライムを倒せなかった…それは魔獣使役(ビーストテイマー)としての良心だったのかも知れない。俺はダメ元でメタルスライムの傷に持っていたポーションを振り掛ける…するとメタルスライムの傷が治って行くではないか。
「へぇ…スライムにもポーション効くんだなぁ…」
俺がそんな独り言を言ってると意識が戻ったのか、メタルスライムがこちらを見ている。
「もう怪我するなよ。じゃあな」
俺は再び慎重に歩き出した…のだが、その目の前にメタルスライムが突然現れた。俺の前に回り込んだのか?凄い速さだな…全く見えなかったぞ。メタルスライムからは敵意を全く感じない…俺はメタルスライムの前でしゃがんでメタルスライムに話しかけた。
「どうした?早く逃げないとまた怪我するかも知れないぞ」
しかしメタルスライムは俺の前でジッとしている…まさか…テイムなのか?俺はゆっくりとメタルスライムに手を伸ばし触れると頭の中で声が聞こえた…。
《テイムしますか?》
俺は自然に「はい」と答えた。するとメタルスライムが光り出して紋様が浮かぶ。コレでテイム完了である。俺は”レア”なメタルスライムを”初めて”テイムした…そして頭の中でまた声が響く。
《特殊条件のクリアーにより、魔獣使役(ビーストテイマー)からの派生進化を確認、魔獣武装(ビーストアームス)のスキルを獲得しました》
「魔獣武装(ビーストアームス)??聞いた事の無いスキルだぞ…一体どうすりゃ良いんだ??」
すると頭の中に先程とは違う声がする…『メタモルフォーゼ』と…。俺はその声に従って声を上げる。
「メタモルフォーゼ!!」
するとメタルスライムが光り出し、俺の身体に液状になり覆い被さって来る…そして俺の上半身に鎧の様な形で固まった…。蝋燭が溶けたような感じだが硬そうである。
そんな事をしてたので魔獣が近くまで接近している事に気付かなかった。
突然俺の目の前にリザードマンが現れた!!リザードマンは…”ゆっくり”と攻撃して来た…何この遅さ…俺は遅い攻撃を難なく躱してリザードマンを殴り付けた。俺の拳にはメタルスライムの鎧が張り付いているのて殴り付けても痛さは感じない。俺はノロマなリザードマンをタコ殴りにした。その内にリザードマンが動かなくなる…俺はリザードマンを倒したのだ!!
リザードマンを倒すと急に目がまわり倒れてしまう…レベルアップ酔いと言う奴かな??レベルアップ酔いはレベルが5つ以上上がると起こると言われている。急激なスキル上昇に身体が過剰反応するらしい…つまりは俺のレベルが最低5つは上がったと言う事になる。攻撃力も魔力も少ない俺はレベルアップに苦労し続けていた。それが一気にレベルアップしたのだ。
「こんなに簡単に…リザードマンは経験値の塊なのか??あんなにノロマで弱いのに…」
だがそれは俺の誤解だった。
リザードマンは中層でもかなり強敵で冒険者泣かせの魔獣有る。攻撃力と速さが持ち味で有り、しかも硬い鱗で覆われた厄介な魔獣なのだ。
しかし俺は知らなかった…メタルスライムを魔獣武装(ビーストアームス)で身に纏う事によりメタルスライムの能力が俺の能力に加算されている事に…。メタルスライムはHPこそ低いが硬さと速さは魔獣でもトップクラスである。魔獣武装(ビーストアームス)の効果により俺はメタルスライムと融合している状態なのでリザードマンが”ノロマ”に見えてヤツの攻撃も”通じない”のだ。俺とメタルスライムの攻撃力は弱いが”硬い”のでシールドバッシュ的なダメージを与えて倒したのだ。
「またリザードマンか…レベルアップさせてもらうぞ!!」
俺は次のリザードマンもまたタコ殴りにした。リザードマンを倒すとまたレベルアップ酔いが俺を襲った…嘘だろ?最初のリザードマンのレベルアップは5つ以上が確定と言う事だ。するとまた頭の中に声が聞こえて来る。
《特殊条件のクリアーにより鑑定のスキルを獲得しました》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます