第33話 越後

「甲斐も手に入れたし、今度は越後で竜を退治に行きまポー!」

 ポーちゃんは越後に攻め込んだ。

「なに!? 越後に攻め込んでくるとはいい度胸だ! 生かしては返さんぞ!」

 越後の竜、上杉謙子が立ち塞がる。

「謙子ちゃん! ゴットカードで勝負よ!」

「望む所よ!」

「ゴットカード・ファイト!」

 ゴットカードバトルが始まる。


ポーちゃんのゴットカード。歩兵さん1枚。


上杉謙子のゴットカード。上杉謙信1枚。

レベル80

全ステータス160


「いくぞ!」

「こい!」

 両雄が相まみえる。

「弱い。こんな小学生の子供に武田信子が破れたというのか!?」

 謙子はポーちゃんの歩兵さんを直ぐに弱いと判断した。

「落ちぶれたな信子。我がライバル失格だ。死ね! ポーちゃん! 必殺! 謙信斬り!」

「ギャアアアアアアー!」

 謙信の攻撃がポーちゃんに襲い掛かる。

「コズミックパワー!」

 ポーちゃんは咄嗟に変身する。


「脆い。脆すぎる。我が毘沙門天の前に6才の小学生など敵ではなかった。」

 勝ち誇る謙子。

「ちょっと待った! 勝負はついていないわよ! 光ある所に影もあり! 影の騎士シャドー・ナイト! 見参!」

 そこにシャドー・ナイトが現れる。

「何!? 新しい姿だと!? 本性を隠していたのか!? 妖め!」

「誰が妖よ! 私はあなたと同じ6才の小学生一年生です!」

 戦いが白熱し過ぎて、極稀にポーちゃんたちが小学一年生だということを忘れる。

「いいだろう。もう一度あの世に送ってやる。」

「そう簡単にはいかないわよ。」

 再び両雄が相まみえる。

「いくよ! シャドー・ナイト!」

「おお!」

 ポーちゃんとシャドー・ナイトは気合十分。

「必殺! 謙信斬り!」

「必殺! シャドー・スラッシュー!」

 両者の必殺技がぶつかり合う。

「やるな! ポーちゃん! できるようになった!」

「謙子ちゃんこそ! さすが信子ちゃんが認めただけのことはあるわ!」

 一歩も引かない両者。

「いいだろう。それなら越後の竜最大の奥義で葬ってやる! 必殺! ドラゴン・スラッシュー!」

「私は負けない! お友達のためにも! 愛と友情のスーパー・シャドー・スラッシュー!」

 激しい竜とお友達の争いが始まる。

「謙子。」

 謙子と信子のサイキック・インスピレーションが始まる。

「信子か!? 信子なのか!?」

「謙子。強く優しい心を持ったポーちゃんなら、おまえを自由にしてくれるかもしれない。」

「そんなことが可能なのだろうか?」

「できるさ。私がポーちゃんを信じたみたいに。だって私とおまえはライバルでもあるが塩をくれるお友達だろ。」

「そうだな。信子は私が認めた唯一のお友達だ。おまえが言うならポーちゃんを信じてみよう。」

 ここでサイキック・インスピレーションは終わる。

「ギャアアアアアアー!」

 謙子の謙信は吹き飛ばされる。

「正義は勝つ!」

 勝ち名乗りをあげるシャドー・ナイト。

「やったー! 勝った! わ~い!」

 大喜びのポーちゃん。


「喜ぶのはまだ早いぞ。ポーちゃん。」

「え?」

 ゴットカードの上杉謙信の体の中から別の姿が正体を現す。

「謙子ちゃんも本当の姿を隠し持っているというの!?」

「我が名は毘沙門天。この戦国時代を支配する者。」

「毘沙門天!?」

 上杉謙信の正体は毘沙門天だった。


いかん! いかんぞ! 毘沙門天の登場で、仏の四天王と八部衆と繋がってしまった!?


 ここいらでポーちゃんの野望イベントは終えておこう。それが無難だ。ここから大きく膨らんでは終われない。



「ポッ、ポッ、ポー。ポーちゃんだい。」 

 アホ丸出しの小学一年生の6才の女の子ポーちゃん。彼女は学校に登校中である。

「ポーちゃん。その歌はなんだい?」

「ポーちゃんのテーマソングなの。」

「ふ~ん。地球人は歌が好きなんだね。」

 マジで何にも疑わない宇宙人のカゲカゲ。彼の地球文化は小学生に教えられる。


ピキーン!


 その時、ポーちゃんが何かを感じとる。

「ワン。」

「カワイイ!」 

 そこに可愛い野良犬が現れた。

「ポーちゃん。犬がゴットカードで遊びたいと言っているよ。」

「え!? カゲカゲ、犬の言葉が分かるの!?」

「もちろん。だって宇宙人だからね。」

 宇宙人てコンビニみたいに便利。

「いいわよ! ワンちゃん! 私とゴットカードで勝負よ!」

「ワン!」

「ゴットカード・ファイト!」

 小学一年生と犬の戦いが始まる。


ポーちゃんのゴットカード。歩兵1枚。


ワンちゃんのゴットカード。???1枚。


「さあ! かかってこい! カワイイワンちゃん!」

 ポーちゃんは余裕をこいていた。

「ガルルルルー!」

「何!? 頭が3つもある!?」

「あれは!? ケルベロスだ!? 地獄の番犬! 冥王ハーデースのペットだよ!?」

「なんですって!?」

 なんと野良犬のゴットカードは地獄の番犬ケルベロスだった。


ケルベロス

レベル70

全ステータス140


「ガルルルルー!」

 ケルベロスの攻撃。

「ちょっと待って!? ギャアアアアアアー!」

 ポーちゃんの歩兵さんは一撃で倒された。

「そんなのあり!? 全然可愛くない! ウエ~ン!」

 純粋な小学一年生のポーちゃんはカワイイ見た目の犬に騙されて大声で泣き叫ぶのだった。

「カゲカゲ、どうして宇宙の力で助けてくれないのよ?」

「だってポーちゃんがカワイイ犬と遊びたいっていうから。それにロナ・ウイルスが関わっている訳でもないからね。宇宙のエネルギーはいざという時のために取っておかないとね。」

「カゲカゲの薄情者!」

「ええ!? なんでそうなるの!?」

 カゲカゲは思った地球人は難しい生き物だと。

 つづく。

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