第4話 サイキック

「でも、ポーちゃんはどうしてナイフを全部買い占めたの?」

「それはね。私が武器投士だからよ。」

「武器投士!?」

 ポーちゃんは新しい職業を身に着けていた。

「実はポーちゃんは超能力者なの。」

「超能力者!?」

 ポーちゃんはサイキッカーだった。

「ある日、空から宇宙人が降って来て私の頭に当たったの。それから相手の心が読めたり、念じたら物を動かせるようになったの。」

 これなら武器を自在に操れても辻褄が合う。決して機動戦士マンダムのファンネルではない。

「ピクピク。」

 その時、ポーちゃんの影がピクピク動いたことは誰も知らない。

「試しにナイフを動かしてみましょう。」

 ポーちゃんは念じる。

「いけ! 私の子供たち! はい! ほい! たあー!」

 36本のナイフが芸術的な動きを綺麗に見せる。

「すごい! まるでナイフが生きているみたい!」

「その通り。一本一本のナイフに名前を付けているんだから。」

「名前?」

「あの子はアンジョリーナ。こっちはトム。ああ! その子はブラピよ!」

 ネーミングはハリウッドスターからかもしれない。

「これだけの曲芸ができるなら私、要らなくない?」

「ダメよ! ミキちゃんがいなくなったら一人ぼっちで寂しくなるもの! 行かないで! 私たちは友達でしょ!?」

「そうね。私たちはお友達ね。もし私の身に何かが起こったら、ねずみの鎧を上げるわ。」

 ミキちゃんはポーちゃんをお友達と認めた。

「要らない。」

「え?」

「だっていつまでもミキちゃんに側にいて欲しいもの。」

「ポーちゃん。そんなにも私のことを思ってくれていたのね。ウルウル。」

 ミキちゃんは感動する。

「カキカキ。」

 ポーちゃんが紙に何かを書いている。

「何を書いているのポーちゃん。」

「マウス・アーマーの継承権証明書よ。ミキちゃんにもしものことがあって、万が一の場合に相続争いにならないようにね。アハッ!」

「私の感動を返せ!」

 二人は仲良しさ。


「ねえねえ、ポーちゃん。」

「なに? ミキたん。」

 ミキちゃんがポーちゃんに質問がある。

「ステータスを無制限にするとインフレーションして物語が終わってしまうので、信長の希望とか四国志みたいに、最大数値は100にしてしまえばいいんじゃない?」

「それいいわね。ステータスの管理が楽だわ。」

 冷蔵庫の戦闘力が52万とかアホなことをするから、スカウターの戦闘能力管理が面倒臭くなって、最終的にはスカウターを壊した七つの竜玉みたいな作品もあったような。

「それじゃあ、私とミキちゃんのステータスを改めてみましょう。」

「そうね。これで毎回ステータス・ポイントを振る煩わしい作業をしなくてもよくなるのね。」

「ダメよ! そこは文字数を稼ぐために地味に変化させるんだから!」

 絶対に譲れない戦いがステータスにはあった。


ポーちゃん。

0戦0勝。

お金0円。


歩兵さん。

内政0

外交0

武力0

魅力0


職業

歩兵。ステータス補正無し。

自称、武器投士。特殊。ニュータイプ用のサイキックジョブ。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

   ナイフ36本。

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


スキル。

投石。

投短剣。

投剣。

摩擦で火をつける。

火投石

火投短剣。

火投剣。


「こんなものかしら?」

「ちょっと!? 今までの戦歴とお金が0になってるじゃない!? どうなっているのよ!?」

「あ、本当だ。それにやっぱりHPがないっていうのも悲しいわね。」

「緊急メンテナンスだ! アハッ!」

 便利な言葉です。


ミキちゃん。

総合評価 S

内政100

外交100

武力100

魅力100

お金0円。


マウス・ナイト。

HP100

MP100

攻撃力100

防御力100

素早さ100

魔法力100

運100


職業

ねずみ騎士、干支12神の一人。


装備

武器、ねずみの剣。攻撃力100

体、ねずみの鎧。防御力100

腕、ねずみの盾。防御力100

頭、ねずみの兜。防御力100


アイテム

なし。


「どう? 私のステータスで試してみたわ。全てのステータスは100。それから私個人に内政外交武力魅力の項目をつけて、ゴットカードのマウス・ナイトは従来道理のステータス制よ。」

「確かにまだその方がいいかも。私のステータスもやってみよう。」

 緊急メンテナンス!


ポーちゃん。

34戦33勝。

お金890円。


ポーちゃん。

内政0

外交0

武力3

魅力100


歩兵さん。

HP10

MP10

攻撃力10

防御力10

素早さ10

魔法力20

運4


職業

歩兵。ステータス補正無し。

自称、武器投士。特殊。ニュータイプ用のサイキックジョブ。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

   ナイフ36本。

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


スキル。

投石。

投短剣。

投剣。

摩擦で火をつける。

火投石

火投短剣。

火投剣。


「これでどう? アハッ!」

「ちゃっかり戦歴とお金を復活させている。さすがポーちゃん。」

「それほどでも。納得がいかない所は多いけど、私の魅力が100っていうのは気に入ったわ。」

「そうしないとポーちゃんが私をスカウトできる理由ができないのよね。」

 辻褄合わせだった。

「ステータスは従来の加算方式。インフレーションしたらその時に考えよう。」

「あれ? ということは私のステータスを下げる必要はないのよね。」

 ミキちゃんも自分のステータスは譲らない。

「結局はパイロットとモビルスーツみたいに、ポーちゃんと歩兵さん。持ち主とゴットカードみたいな感じになったのね。」

「内政って、街作りよね? 外交は他の町や国とのやり取りでしょ。武力は戦闘力だろうし、魅力は武将の引き抜きよね。」

「あ! 野心の項目を忘れているけど・・・・・・まあ、いいや。」

「良くない!」

 今度の機会に追加しておこう。

「じゃあ、モンスターを倒しに行きますか。」

「そうだね。」

 ポーちゃんたちは町の外に出て戦いに出る。


「ゴーゴー!」

 ゴーストが現れた。


ゴースト。

全ステータス40。

お金40円。


「いや、これも修正だろ。ゴーストの全ステータスを40にしちゃうと私、一撃で倒されちゃうんだけど。」

「え? 私は大丈夫よ。だって神だもの。アハッ!」

 緊急メンテナンス!


ゴースト。

全ステータス7。

お金70円。


「確かにステータス・バランスが無茶苦茶なゲームだな。」

「きっと私たちはテスト・プレイヤーなのよ。」

 その通り。

「そうね。イベントのストーリーモードなんだけど、まったく物語が先に進まないんだけど。」

「ラダトムの町で装備を整えたら、今度は勇者トロの洞窟よね。」

「そうそう。そこでゴーストが出ればいいのよ。」

「なんであんたが町の周辺で出るのよ!」

「ごめんなさい。」

 なぜか謝るゴースト。

「それじゃ、仕切り直しで勇者トロの洞窟に行きましょう。」

「おお!」

 ポーちゃんたちは洞窟に向かった。もちろんゴーストもトロの洞窟に行きスタンバイする。


「ここが勇者トロの洞窟ね。暗くて薄気味悪いわ!?」

 洞窟の中は真っ暗だった。

「マウス・ライト!」

 洞窟の中が明るくなった。マウス・ライトは非売品である。

「スゴイ! さすがミキちゃん!」

「伊達に神様はやってないぜ!」

 二人は大の仲良し。

「ゴーゴー!」

 そこにスタンバイしていたゴーストが現れた。

「いくよ! 歩兵さん!」

「おお!」

「やるよ! マウス・ナイト!」

「チュウ!」

 ポーちゃんたちは戦闘準備に入る。

「必殺! 投短剣36連!」

「必殺! ネズミ斬り!」

「ギャアアアアアアー!」

 ゴーストを倒した。

「正義は勝つ!」

 ポーちゃんたちは勝った。

「やったー! 勝った! わ~い!」

 大喜びのポーちゃん。

「ありがとう! アハッ!」

 笑顔で明るいポーちゃん。


ポーちゃん。

35戦34勝。

お金940円。


ポーちゃん。

内政0

外交0

武力3

魅力100


歩兵さん。

HP10

MP10

攻撃力10

防御力10

素早さ10

魔法力20

運6


職業

歩兵。ステータス補正無し。

自称、武器投士。特殊。ニュータイプ用のサイキックジョブ。


装備

武器、銅の剣。攻撃力1

   ナイフ36本。

体、銅の鎧。防御力1

腕、銅の盾。防御力1

頭、銅の兜。防御力1


アイテム

なし。


スキル。

投石。

投短剣。

投剣。

摩擦で火をつける。

火投石

火投短剣。

火投剣。


「しけてんな。この洞窟。マグロの1匹も落ちてない。」

「勇者トロはマグロですか!?」

 ポーちゃんによって勇者は食べ物にしか見えなかった。

 つづく。

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