先輩と後輩を、絡めて


『ここからは俺だけじゃなくて、同僚のVtuberさんを巻き込んだマシュマロを紹介していくぞ~。あんまし危険なものは出さないから、そこんとこよろしくな~』


 こういう場面でもきっちり炎上のリスクを考えつつ振る舞う零であったが、リスナーたちの手に掛かれば自分なんてガスコンロよりもお手軽に燃やされるんだから意味なんてないんだろうな、という悲観的な考えも抱いている。

 それはそれとして、マシュマロ配信を進めていく彼は、先の言葉通りに自分ではなく同僚たちに関する質問への回答を行っていった。


『くるるんからみたCRE8メンバーってどんな感じ? 個別に言える人がいるなら個別に教えてもらえると助かるなぁ』


『これな、俺の交友関係が本当に狭いからマジで答えられねえんだ。関わりがある人だけで言うなら、芽衣ちゃんは初めて出来た友達で、たら姉は天然入ってるうっかり屋のお姉さん……って感じかな』


『ハブVSマングースって昔ショーがあったから蛇VS羊があってもいいよね? ということでめいちゃんとガチ勝負コラボが見たい!』


『芽衣ちゃんとのコラボを望むコメントは結構寄せられてるんだけどさ、その中でもこういう対決企画を要望してる人も多いんだよな。お互いがゲームへたっぴだからグダる危険性が高いんだけど、色々と相談して決めてる最中だとだけ言っておくわ』


『一期メンバーでコラボしてみたい人はいますか?』


『いや~、これな……さっきも言った通り、俺は同期とすら顔を合わせてない人がいるわけだから、1期生の人と絡むなんてまだまだ遠い話だと思ってるんだけどさ……ちょっと前からとある1期生の人から連絡受けてんだよ。正確には、呼び出し的な?』


【ああ……そのニュアンスで大体誰だか予想はついたよ……】

【CRE8の表には出してはいけない方の最終兵器、くるるんに目を付けてたかぁ……】

【元祖炎上キャラは私だ! って、雑談配信でくるるんにブチ切れてたよ】


『うわ、マジでこれだけで正解当てるのな。流石はビッグ3の一角だ』


【ちなみにリスナーたちからは後輩ビビらせんな! って怒られてた模様】


『えぇ……? なんか俺と同じくリスナーたちから辛辣な扱い受けてるんだな。ちょっと怖かったけど、案外話してみたら仲良くなれるかも』


 そう言いながら、飲み物を一口。

 喉を潤した後、あることを思い出した零は、それも追加でリスナーたちへと情報提供する。


『ああ、そうだ。一応、ちょっと前に通話で新衣装の打ち合わせするために1期生の人と話したわ。これに関しても大体誰だかわかるだろ?』


【しゃぼんか。そういえば枢は社長としゃぼんの子供だったな】

【親子配信、今から期待してていいですか!?】


『まあ、それはそのうちおいおいな。新衣装のデザインで忙しいみたいだし、今は無理だよ』


 リスナーたちのコメントに苦笑しつつ、答えを返す零。

 1期生に関する話題はここまでで十分かと判断した彼は、今度は親しい人物に関するマシュマロに答えていく。


『芽衣ちゃんとたら姉のどちらが本命ですか?』


『早速俺を燃やしに来るんじゃねえ。どっちもただの同僚です。本命もキープもありません』


『最初期からのくるるん推しです! いきなりの大炎上にも諦めずそれでいて自身が更に燃えるのも構わず同期のフォローを行う姿に感銘し、以降配信を追ってます! 今や炎上は芸みたいな感じになっておりますが、それでもやはり心配です。願わくば、これ以上波乱や炎上が起きないよう心から応援しております!!

ところで花咲たらばさんのおっぱいに触れてみてどんな風に感じました?』


『お前さあ……絶対最後の質問が本命だよな? その前の数行のメッセージは自分の欲望を隠すためのフェイクだよな? 本当に手の込んだ真似しやがって……! ……無茶苦茶デカくて柔らかかったです。現場からは以上』


【結局答えるんかいwww】

【はい、炎上】

【たらばのたわわなたらばに触れただなんて、羨ましいぞ、枢……!!】


『たら姉はこんくらいのことなら間違いなく許す。なんだったらもう1回揉む~? くらいのことは言うよ、あの人は』


【違いないwwwオープン過ぎるよな、たらばってwww】

【周囲にいる男性が真面目な枢でよかった……!!】

【なお、真面目な枢は過去に何度か奔放なたらばのせいで燃えている模様】


『まあ、同僚に関するマシュマロはこんなところだな。って言うか、こっちもクソマロの比率高過ぎないか?』


 同僚たちを絡めたマシュマロへの回答を終了した零は、大きく深呼吸をすると決意を固めた表情を浮かべた。

 そうして、一気に真面目になった彼の分身である蛇道枢のアバターが表示される画面を見つめながら、零は再び厳しい戦いへと打って出る。


『はい、ではここからはお前らお待ちかねのクソマロ大放出のコーナーで~す。一生恨むから、覚悟しておけよな』


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る