ss 咲夜's birthday ♪

2050年3月10日、今日は咲夜の誕生日だ。

それでちょうど良いから今日婚姻届を出そうという話になった。


「婚姻届ってこんなかんじなんだ、実物は初めてみるな・・・・・・」


「ふふふ、夢のようです。」


2人は、咲夜の実家を訪れると、一緒に必要事項を記入した。2人はまだ未成年なので、両親の承認が必要だ。少子化対策によって、16歳でも、両親の同意があれば結婚する事は可能だ。実際最近では、16歳同士の結婚も増えてきている。

ちなみに、ボールペンではなく筆である。家のしきたりで、昔から統一しているらしい。


「これからは藁科咲夜になるのかな?」


2人の名前を丁寧に書きながら、そんな事を考える。なんだか新鮮な感じだ。


「はい、もちろんそのつもりです。実は私、同じ苗字になる事に少し憧れていたんです。茜さんも美月さんも『藁科』なのに、私だけ『嘉神』なのを少し気にしていまして・・・・・・」


「まぁ確かに兄妹だからね、でも同じ苗字が嬉しいっていうのは僕にもわかるかも、なんか前より距離が近づいた気がする。」


「近づくというよりくっつくの方が私は嬉しいです、結人さん。」


そう言いながら、咲夜は両手をぴとーっと結人にくっつく。こうして愛する人の温もりを感じる事は、咲夜にとってこの上ない幸せなのだ。


「1つ思ったんだけどさ、これからは僕の事を『結人さん』じゃなくて『結人』って呼び捨てで呼んでくれない?」


「どうしてですか?」


「そっちの方が親近感湧くし、嬉しいし・・・」


「わかりました、やってみます。」


咲夜は一度ゆっくりと深呼吸をすると、息を整えるとわざわざ結人の耳元まで近づいて囁いた。


「大好きだよ、結人」


「っ!///」


「ふふふ、顔が真っ赤ですよ、結人」


「咲夜がそんな事言うから・・・・・・」


咲夜の可愛らしいよう声が、結人にクリーンヒットした。いくら4重の次元バリアをじょうじ展開している結人でもこれは防げない。


「確かに今日から婚約者から妻にランクアップしたわけですから、結人さんの呼び方を変えるのもいいかもしれませんね。」


「何かこれで呼んでみたいっていうのある?」


「そうですね・・・今までずっと結人さんと呼んでいたので、この呼び方が一番板に付いています。ですが、少し恥ずかしいですが、呼んでみたい呼び方があるので試してみていいですか?」


あくまで、今思いついたふうを装いながら、結人に尋ねる。

実は最近ずっと考えていた事だったりする。


「いいよ、とりあえずやってみて。」


婚姻届を書くのを一旦辞めて、振り返る。動揺してミスってしまうのを防ぐためだ。


「いつもお仕事お疲れ様です、あなた。」


「///」

「///」


「な、なんだか恥ずかしいね。」


「は、はい、でもこれからはこう呼びたいです。」


「いいよ。」


そう答えてから少し恥ずかしくなり、再び婚姻届を書く作業に戻る。

そして、照れ隠しにこう言った。


「お誕生日おめでと、咲夜」


「はい、ありがとうございます、あなた。これからもよろしくお願いします!」


「うん、こちらこそよろしく!」



________________________________


どうでもいい話


2022年現在、18歳以上じゃないと結婚できない事を書き終えた後に気づき、慌てて一文足しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る