第23話 隔離7日目

2020年2月11日 隔離7日目  横浜を出港し外洋へ


 7:55に夢うつつのところ船員氏のアナウンスで外出の案内。神奈川新聞の朝刊がポストに届く。8:18オレンジジュースが届き、パン、サンドイッチ、ヨーグルト、ヤクルトと続く。配ってくれた青年がヤクルトに興味を示しこれは何かと聞いてくるのでヨーグルトドリンクのようなものと適当に答える。ヤクルト社の提供だろうか、ありがたい。サンドイッチのハムとチーズの塩気が強くてうまい、ヨーグルトもおいしい。


 9時過ぎにキャプテンアナウンス『今日も直面する壁に一丸となって対応する。正午に外洋へ、帰りは明朝9時予定。ランドリーサービスが一巡した、服を返却している。引き続き扉を開けるときはマスクをつけてください』。水を持ってきてくれたタムさんにぱちがお茶のティーバッグを頼む。薬が切れているせいか聞いたことをすぐに忘れメモが取りづらい。


 9:42日本人の男性がぱちの薬を届けてくれる。ぱちが受取る時にやどかりの分の方が急ぐと言ってくれたらしい。本日の船内番組のズンバはWakaWakaでした。あとテレ朝のワイドショーは下の下。ぱちの薬が先に来たということは何か優先順位があるのか。小腹がすいたので取ってあったリンゴを食べる。

 11:59キャプテンアナウンス『感染者を搬送しており65名中32名完了。当局と交渉中で出港は5~6時予定になった。トラックへの排水をしている。インターネットが不安定なので改良を急いでいる。医薬品を配布している。命に関わる場合は指定の番号へ。見慣れない服の人たちは日本側のサポート人員です。メールや手紙、SNSメッセージも受け取っている。世界中が見守っています』。


 12:39お昼ご飯とともにカップヌードルシーフードをいただいた。普段あまり食べないが嬉しい。ターキーフリカッセおいしい。芋が多い。サラダはしょっぱい。チョコケーキがでかい。14:00を挟んで1時間ほど小舟でヒーローがやってきた。船の屋根に大きくガンバレ ウイルスに勝つぞと貼り出してパプリカと負けないでを流し続けている。

 14:20ミヤネ屋で港に大型バスが入ったと言っている、一部の乗客は下船か。


 半分寝ていた14:55クルーズディレクター(※1)からエンタメのお知らせ。ほぼ寝ていた16:14キャプテンアナウンス『陽性の65名と体調不良の数名を搬送しました。空調は部屋ごとの個別空調です。医師45名、看護師55名、薬剤師45名とボランティアが乗船しています。インターネットが不安定ですみません。出港時には海保の船が二隻同伴してくれます。建国記念日おめでとうございます』。

 18:24キャプテンアナウンスで外洋への出方を説明。『明日午前9時に再接岸予定、海上自衛隊の巡視艇が2隻同伴する』。さっきは海保って言ってたな。『各部屋の外出のスケジュールを明日配ります。厚労省からの連絡によると本日2/11正午をもって1,850人分の薬の配布を終えました』。来てないな…


 19:10事前に注文したビーフストロガノフと違う魚が来たがまあいいか。下味がついておらずぼんやりした味。サラダはおいしい。ケーキが雑になってきた。いまいち舌が納得しなかったので取ってあったゆで卵を食べる。

 夕食後、申し訳ないと思いつつゲストサービスに電話し薬の件を聞くがやはり誤報だったとの事。21:38ドアの外にあるポストを確認しつつ廊下の向こうを覗いたらイスに座った見張りがいた。




(※1)船内エンターテイメントの責任者。英語と日本語で女性が1名ずつ。船内番組(モーニングショー)、各種イベントや夜のショーの司会もする。

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