第15話 クルーズ15日目 洋上

2020年2月3日 15日目  終日クルーズ


 今日も予定はないのでゆっくり起きる。朝食はサラダ、白菜の炒め物、ソーセージ、卵焼き。昼はサラダ、ローストビーフ、みたらし団子。


 14:50頃、メインホールでコーヒーを飲みながら読書中に船長からアナウンス(※1)が入る。検疫対応のために速度を上げ、本日20:30頃に横浜港に入港予定だという。本来なら明日の朝6:15に帰港なので妙な感じがする。

 16:00頃、新島横を通過中ネットがつながったのでNHKニュース防災アプリを立ち上げると、トップニュースが「新型肺炎感染の男性(※2)が乗船していたクルーズ船 あす横浜港に」で仰天する。誰かと話したくてメインホールに行くと某旅行会社の職員がいたため質問したところ、船長がアナウンスしたとおりです、と返されたので察する。


 17:30からの夕食中、NHKアプリが更新され(17:34付)DPの名前が記事に出る。この時点で船内に体調不良者がいると報じられる。夕食の席で隣の方にこの話題を振るとやはりご存じで話題がコロナ一色になった。周りのテーブルからも同じ話題が聞こえていた。

 18:20に船長のアナウンス、コロナ患者の件が報告される。衛星Wi-Fiと衛星電話を無料開放する。あと20分ほどで準備ができるので改めて知らせる。

 この時点でWi-FiにOCIANが出ていてパスワードなしで使えた。日本語アナウンスでは次のクルーズ(※3)を24時間延期することをはしょった。


 19:00過ぎに部屋に戻るがワンセグ(※4)の映りが悪い。ベランダ近くに置いて設定をワンセグのみ受信にしたら何とか映った。ちょうどDP号のニュース。アプリのニュースも19:06更新で大黒ふ頭に停泊とのこと。

 荷造りしながらニュース9待ち。部屋から四苦八苦して親族に衛星電話。14日間隔離と言われる。横浜のホテルを手配中という報道があったらしい。

 ニュース番組でも特に新しい情報はなく、21:30頃に荷物を廊下に出した(※5)ら、タムさんが来て「荷物を部屋に戻して、船長の指示があったらまた出して」と言うので本格的にヤバくなってきたなと思う。ぱちは廊下に荷物がないのを回収済みだからだと勘違いして焦っていた。

 タムさんが再度やってきてゲストサービスからのメッセージと検疫の質問票とチョコ(※6)をくれた、ありがとう。


 21:54開始の報道ステーション冒頭で、20:00、21:00の2回検疫官が小舟でDPに乗り込んできたことを知る。22:44速報、陽性の人は入院、それ以外は帰宅らしい。約三千人の体温を測るなどしています、ってまだ何もしてませんね。

 22:30頃ビュッフェにお茶を入れに入ったら東アジア系の人が大勢いておしゃべりしている。


ニュースZEROで検疫官がDPに乗り込む映像をみる。ヘリが上空を飛ぶ音が何度もしていた。23:05室内アナウンス、今晩中に体温検査をするよう当局から要請された、上階(14階)の部屋から順番に検疫官が回る予定。

 23:40フジのニュース冒頭で発熱7名、帰宅は夕方以降、との情報を得る。そういえば19:00過ぎに外見たら変な小舟いたな、テレビ局かもしれない。



(※1)船長のアナウンスの後に、日本人船員の和訳アナウンスが入る。各乗客のいる船室内の放送設備は緊急時用なので、何もなければ航海中に使われるのは初日の避難訓練の時だけなのだが、隔離検疫中は主にキャプテンアナウンスで使用され最も重要な情報伝達方法になった。各アナウンスについては「だぁ(On board the Diamond Princess / 乗船中乗客)(@daxa_tw)」さんのツイートが貴重な資料になっている。

(※2)香港の81歳男性。1月17日に来日、19日から咳の症状、20日にDP乗船、23日体調悪化、25日香港で下船、30日に発熱、2月1日コロナウイルス陽性。来日前に中国の深セン滞在歴があった。

(※3)当初の予定では2月4日午前に今の乗客を降ろし、午後新しい乗客を乗せて次の旅程に出発することになっていた。

(※4)運よくやどかりがワンセグ/フルセグ機能のあるタブレットを持ち込んでいたので、隔離中も外部の情報に接する機会が多かった。

(※5)通常の手順では乗客は下船の前夜に大きな荷物を部屋の外に出し、ポーターが回収して下船後に持ち主に引き渡す。SGムービングにあらかじめ往復の申し込みをしている場合は船から降ろされた荷物を運送会社が引き取り自宅まで配送する。

(※6)各船室はルームスチュアードが一日2回清掃やベッドメイクをしてくれ、DPでは夕方に部屋を整えた(ターンダウン)後、ベッドにチョコレートが置かれる。

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