メルカとの旅10

 黄金に光る体

 真っ黒な髪が金色に染まり、その力には古代の鼓動を感じる

「お待たせ、ようやく僕も力が戻ったよ」

 彼はヒトを導く者

 リーダーとして生まれ、転生し、黄金の力を持つ者

 黄金人、名をカイト

「さぁ、導く者としての役目を果たそう」

「師匠!」

 クロハさんとハクラちゃんを助けるようにしてキミーの力を受け止める

「おっとっと、これはなかなかに強いね。さすが皆の力を集めただけのことはあるね」

「嘘だろ、なんでキミーの力を、あれだけ集められた力を受けて平気なんだよ!」

 世界すら破壊できる力だったはずだ

 それをカイトさんは簡単に消し去っている

「導いたのさ、本来の方向へ」

「あ、う、ニャ、ム」

 キミーという少女が突然血を吹き出して倒れる

 何が起こったんだ!?

「キミー!!」

 ニャムという少女は不安に駆られ、キミーに近づく

「ああそんな! キミー! ぼくちんの、唯一の、友達」

 キミーはもはや息もできないほどに弱り切っている

「お願いだ、この子は、この子だけは本当は優しいんだ! こんなぼくちんに優しくしてくれたんだ! この子だけは助けてくれ! 僕珍はどうなっても構わないから!」

 驚いた

 悪意だけで動いていたような彼女たち

 なのにお互いはお互いを尊重し合い、認め合い、愛し合っていた

 二人の間には優しさが流れている

「も、いいよ、ニャム。私、疲れ・・・。父様と、母様のとこ、行かなきゃ。女神さ、ま、ごめ・・・」

 キミーが声を発さなくなった

 恐らくもう

 彼女は僕らの力を倍にして返し、さらにそれをカイトさんの力によって返された

 今生きていただけでも不思議なほど

「ああ、だめだよだめだ。ぼくちんの、大切なキミー」

 体温が失われていくキミーの体を抱き上げてニャムは口づけした

「大丈夫、君がもう悪意に染まらないというなら僕が導く」

 カイトは死んでしまったキミーを抱えると優しく頬を撫でた

「はっあああ!!」

 途端に息を吹き返すキミー

「どうなってるんです師匠!」

 カイトさんは優しく微笑む

「もう、それはいらないね?」

 今度はニャムの体から何かを取り出した

 黒い何か、うねうねと動いていて気持ち悪い

「あ、ぐあ、ぼくちん、は」

 悪意だ

 これは悪意を取り出したんだ

 二人はまるで気の抜けたような顔になっている

「君の罪は深い。でも、君の罪は僕が禊ぎ導いた。罪は過去から清算されて行き、現在へと繋がる。過去から現在を、君たちの罪を、無かったことに」

 二人がこの場から消えた

「一体何が起きたんです?カイトさん」

「ああ。二人が罪を犯す前に過去を変えたんだ、キミーという少女は不幸な事実を無かったことに。ニャムラスこと新島未来はその抑えられていた思想を消した。僕の力は導くことだからね」

 導く?

 よくわからない力だけど、あの二人は過去を変えられて今は幸せに暮らしているだろうとのこと

 これが、カイトさんの力

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