メルカとの旅7

 クリスタル人達はよっぽど生身の体が珍しいのか、ずっと僕らを観察している

 ちょっと恥ずかしい

 王様もかなりの量の質問をぶつけてくる

 今までの敬意や食べ物、生身を持つ生物の生態などなど

 どうやらこの王様、研究者としての一面も持ち合わせているみたいで、僕らが話すことを一言一句漏らさまいと必死

 大量の紙束に書き記していた

「なるほど、私達と食べるものは一緒なのですね」

「はい、主に野菜や肉を食べます。我々鬼は肉食性が多いですが、仙人の力を持つ者は菜食者が多いです」

「そこもまた私達と同じですね。私達も雑食が多いですが、菜食主義者も一定数いますから」

 ハクラちゃんたちはともかく、仙人はその体質上菜食主義にならざるを得ないんだよね

「ところで王よ、この世界で何か変わったことなどは起きていませんか?」

「変わったこと、ですか。いえ特には。何かあるのですか?」

「いえ、何もなければいいのです」

「そうですか・・・。しかしまあ私も長く生きておりますが、神様にお会いできたのは初めてです」

「ここは宝石人の世界のように女神は降臨しないのですか?」

「この世界より宝石人の世界の方が危険が多いものでして、女神様もそっちにかかりきりになっておられるようなのです。私が生まれてからはまだ一度も姿を現しておりませんね。まあそれだけこの世界が平和という証でもあるのですが」

「なるほど、ではさらに盤石にするために私の加護も与えておきましょう」

「え?」

 サニアさんは突然加護を世界全体にいきわたらせた

 これが女神の力

「私の加護は能力です。これから生まれて来る世代の子供達は何らかの能力が発現して生まれます。心が清らかなあなた達ならきっと使いこなしてくれると信じていますよ」

 動揺してしばらく固まっていた王だけど、すぐに立ち上がってサニアさんに地面に頭を擦り付けるんじゃないかってくらいに感謝した

 この世界、魔法は一応あるみたいだけど、そこまで強い魔法は使えない

 スキルもないからもしウルに襲われたらひとたまりもない

 一応彼らってかなり頑丈らしくて、そんじょそこらの魔物にはやられないだけの強さはあるみたいだけど

 頑丈なだけじゃ守れないもんね

「ありがとうございました女神様!」

 去り際、この世界のほとんどの住人が集まってるってくらいに集まって、僕らを見送ってくれた

 彼ら、どこにいてもクリスタルからクリスタルに移動できるらしい

 何それ便利

 盛大な見送りの中、僕らはこの世界を去った

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