笑うアウル
右腕として使っていたメルカが消えた
ほんの少しの間だったがアウルの洗脳を解いて、自らを仲間に殺させたのだ
「うーん、優秀な手ごまを失ったことは残念だけど、代わりにとんでもない拾い物をしたからねぇ」
その横には新たにメルカによく似た女性が立っていた
異放の創造主リルカ、それが彼女の以前の名前だ
彼女はかつて自らを犠牲にして世界を救い、その存在ごと消えたはずだった
しかしどういうわけか今ここにいる
アウルがわずかに残った彼女の細胞を自らの力で増殖させ、クローンを作り出したのだ
精神生命体だったが、亡くなった時構成していた有機体も体の構成成分の一部だったため出来たことだ
さらにその後ろにいる女性
彼女はアウルのすぐ横で真っ暗な目をしてただ立っている
「ねぇママ、メルカの最後はどんなだった?」
「はい、女神の攻撃をまともに受けて消滅、欠片も残っていません」
「そっか、じゃあこの子みたいに従順なクローンは創れそうにないねぇ」
アウルは楽しそうに笑っている
世界を壊し、人々の悲鳴を聞き、悪意を吸い取ることが楽しくて仕方がない
「そう言えばママ、あの、誰だっけ? 精霊の」
「リディエラです」
「そうそう、そいつの世界、壊したんだよね?」
「はい、リルカクローンが完全に消滅させました」
「目障りだからね。そのうちそいつも消すかな・・・。いや、もっと楽しそうなことを思いついたよ。そいつに仲間を殺させよう。そして全員を殺し終えたとき洗脳を解くんだ。きっと、ぷっ、自己嫌悪で最高の負の感情を生み出してくれるよ!」
「いい考えですアウル」
「そうだろうママ。それじゃあ早速リディエラを捕まえよう。リルカクローンを連れて行くといいよ。すぐに捕まえられるだろうからさ」
「はい」
ママと呼ばれた女性がリルカの腕を掴むと、ゲートを開いてウルの本拠地から旅立っていった
「ふふんふんふんふん♪ んんん~、楽しいねぇ楽しいねぇ。世界を滅茶苦茶にするのは、本当に楽しいねぇ!」
アウルの笑い声が響く
悪意そのものの笑い声は周囲に影響し、その世界にいた者たちの悪心をさらに増進させていった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます