守り人1

 主の危機を感じた

 彼女らは世界を生み出す者によって作り出された

 娘を守らせるために生まれたが、長い間戦いによる傷を癒すために眠りについていたのだ

 一人目が動き出すとそれに呼応するように二人目、三人目と目覚めていく

「起動確認だの。キキリリは主様の危機を感じたの。KKLL、壊眼かいがんの起動、大丈夫みたいの」

 キキリリという少女は目をパチパチと瞬かせて辺りを見回す

「ニニミミ、主様の所へいかないとの」

「ええキキリリ姉さん、私の隠本もちゃんと起動しました。完全回復です」

 ムフーと鼻息荒く自分の生体武器である本を確認する少女

 そしてその後ろからむくりと立ち上がる影

「なんだなんだ、わしが一番だと思ったのにやっぱキキねえが一番か、さすがなのだ」

「シシララ、生体武器を確認しておくの」

「お、そうなのだそうなのだ」

 シシララと呼ばれた少女はするりとどこからともなく棒を取り出した

 何の飾り気もない鉄パイプのような棒だ

 それをクルンとまわしてみる

「うんうん、いい感じなのだ」

 その後も残りの姉妹たちが起き上がっては自分の生体武器を確認していく

「全員そろったの。さあ皆いくの! 主様、メルカ様の元へ!」

 七姉妹はえいえいおーと奮い立ち、一斉に飛び立った


 それから時間にして約一か月ほどが経った

 七姉妹は様々な世界に散ってはまた集まって情報交換をする

「んー、皆の集めた情報を統合すると、よくわからないことになってるの。もう異放者はいないの。なのになんでこんなに世界が消えてるの?」

「姉さん、私の本を使いますか?」

「そうして欲しいのニニミミ」

 ニニミミは生体武器である本をぺらぺらとめくって行く

 その本に書かれていく文字から世界の情勢をよみとった

「姉さん、どうやら新しい危機です。主様のことは分かりませんが世界がたくさん消えて行っています。一体だれがこんなことを」

「分かんないけどとにかくこの悪いやつをやっつけるの! そうしたらきっと主様も戻ってきてくれるの!」

 またもえいえいおーと言いながら様々な世界へと散った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る