女神と二天の冒険6

 あれから別世界に来て、真魔神となったラナのことをお姉ちゃんに報告しておいた

 お姉ちゃんも喜んでくれて、これからの成長を楽しみにしてくれてる

 問題はそう、私のことね

 私この中で一番弱いかもしれない

 なにせラナは新種族、二天は日々成長を続けている

 私はというと女神になってからはまったく成長していない

 最初からある程度は強かったし、神々の中でもかなり上の方に位置する強さは十分ある

 でも今回戦っているウルと言う組織には、神すら凌ぐ強さを持つ異世界人が多数在籍している可能性がある

 そんな中で今の私の力じゃ全く太刀打ちができない

 あの時の大男だってそう。私は手も足も出なかった

 だから力が欲しい

 ただ借り物や危険な力は駄目

 だってそれで痛い目を見てる人たちを多数見てきたんだもの

「はぁ」

「大丈夫ですかルニア様? ため息などつかれて」

「あ、ごめんね、漏れてたのね。大丈夫心配ないわ。とりあえずこの世界にウルがいないか調べるから、守ってくれる?」

「はい!」

「わ、私も頑張ります!」

 二天とラナは私を取り囲むように守ってくれる

 安心感が半端ないわね

 身を任せつつ世界情勢を探る

 ウルは気配が掴めないけど、異変のある場所を探せば結構な確率で遭遇できる

 ていうかどんだけいるのよウルって

 ほとんどの世界に派遣してるみたいだし、雑魚を含めると億単位、それ以上かも

 まあ雑魚やある程度の幹部連中なら十分私でも対処できるし、その辺りの心配は少ないかも

 おっと集中しなくちゃ

 世界中に監視の目を張り巡らせて問題が起きている場所を探してみた

 するといくつかの問題を発見

 結構強そうな魔物が暴れてる場所、不気味な化け物がなにやら街に向かっている場所、アンデッドの大群が蠢いている場所などなど、およそ三十か所

 その中でこの世界の住人でも対処できそうなものは放っておく

 それはこの世界の問題だもの、あまり干渉しすぎるのもよくないのよね

「見つけたわ。私達が行かなきゃいけなそうなところは五か所ね。リィリアちゃんは西方十一キロほど離れた街。アンデッドが大量に街に向かってるわ。聖なる力が強いリィリアちゃんにうってつけって言っていいわね。アスティラちゃんはちょっと遠いけど南東に一万キロほど離れた大きな教会がある街ね。変な化け物が街を襲ってる。転移で飛ばすからそっちの対処をお願い。ラナは私と来て」

 三人にそれそれ指示を飛ばすとまずアスティラちゃんを転移で街まで飛ばした

 あの子なら十分対処できると思うわ

 それからリィリアは翼を広げて飛んでいったし、あとはラナと私で残りの三か所を担当

 強そうな魔物は魔法に弱そうだからラナにうってつけ

 残りの二か所にはフードを被ったウルらしき人影

 取りあえずは人を襲ってる凶悪そうな魔物からね


 ルニア様と別れた私は翼を広げて西へ飛んだ

 私の聖なる力が必要だというアンデッド蠢く場所

 悪魔などとも戦ったことのある私なら何の問題もないだろう

 羽ばたきつつ下を見るとアンデッドの群れの最後尾が見えてきた

 ふむ、一体一体は弱そうだが、ちらほらゴーストの上位種のリッチや、スケルトンの王キングスケルトンなど強そうな個体もいるな

 まあこの世界でそう呼ぶのかは分からないが、大した変わりはないだろう

 私は最後尾にいる弱いアンデッドたちをまとめて消し飛ばすため魔法を放った

「ホーリーエデン」

 アンデッドたちの地面に広範囲にわたって聖なる力を加える魔法

 そこまで強い魔法ではないがこの程度のアンデッドなら十分に消滅・・・、していない?

 どういうわけだ? 上位アンデッドなら強さによっては残ることもある

 だが下位のアンデッドならあれで消えるはずなのだが

「フェリオホーリーアシュタ!」

 今度は先ほどの魔法よりも数段強い範囲魔法を放つ

 それでようやく下位のアンデッドを消し飛ばすことができた

 なんということだ、このアンデッドたちは私の知っているアンデッドとは姿は似ていても強さが違う

 下位のアンデッド一体一体が上位レベルの力を持っている

 こんなものが街になだれ込めばひとたまりもないだろう

 急ぎ私は力を使いアンデッドたちの掃討を始めた

 上位のアンデッドは流石に強く、本気で取りかからなければならないだろう

 かなりの数の下位アンデッドを屠ったところで私は上位のアンデッド数体と対峙するところとなった

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