新世界より2

 むぅ、この二人の天使、あんまり喋んないわね

 特にリィリアちゃんの方は何か悟ったような感じで可愛げがない

 まぁこればっかりは慣れないと仕方ない気もするし、この子結構警戒してて壁があるからそれがいつか壊れることを信じないとね

 で、もう一方のアスティラって子はかなりの気遣い人みたい

 私とリィリアちゃんがぎくしゃくしてるのをみて何とかしようと必死になってるのが可愛い

 まぁなんとかうまくやっていけそうね

 お姉ちゃんとも相談したけど、たまにお姉ちゃんと私が入れ替わってっていうのはやめておくことにしたわ

 本当は私だって可愛い姪っ子のリディエラちゃんと一緒にいたいとは思うけど、恐らく能力的に考えてこのメンバーで行く方がいいわ

 この二人はリディエラちゃんや鬼神二人と比べると一段階くらい力が劣る

 天使になったばかりだからそれも仕方ないけど、この旅で二人を鍛え上げるのも私の役目ってわけ


 扉をくぐって最初に来た世界はキラキラと輝く湖面が見える綺麗な場所

 その湖面には鳥たちが浮かんでいて優雅に泳いでる

 探知してみると湖の中には神聖なもの、多分神獣がいるわね

 知性があるみたいだから少し話を聞いてみようっと

「ちょっと二人はここで待ってなさい。湖の主に話を聞いて来るから」

 聞く話はもちろんウルという組織に関わる異世界人について

 もしかしたらこの世界にすでに来てるかもしれない

 神獣ならこの辺りで起こることを把握できてるはずだもの

 私は湖に向かって歩き出した

 するとすでに女神である私の気配を察知したのか、湖から巨大なまずが現れてぺこりとお辞儀する

 ノペッとした顔で愛嬌があるから可愛いわね

「んあああ、女神様? なぜここにい?」

「ゆったりしてたとこ悪いわね。実は」

 私はここに来た理由を話し、協力を求めた

「んんん、ああああ、そう言えばここから少し行った村が騒がしかったなぁ。女神様あ、解決してやってくれませんかあ? 僕はここから動けないんですよお」

「分かったわ。情報ありがとね。これあげるわ」

 女神の加護、破壊の女神たる私は破壊の加護を与えれる

 物騒だけど新しい力を得たと思ってもらえればいいかな

 彼?は地震を予知して人々にお告げを与える神獣で、予知の権能だけだから人々を守るすべがないって悩んでたみたい

 神獣の鑑じゃないこの子!

 余計に可愛くなった私は彼に少し多めに加護を与えておいた

「ありがとうございます、女神様あ」

 

「話はできたわ。村の方で何か起こってるみたいだから行ってみましょう」

「あの女神様、私一人にやらせてもらえないでしょうか?」

「え?なんでよ?」

「この天使としての力を試してみたいのと、早くなじませて使いこなせるようになりたいのです」

 リィリアちゃん真面目なのね・・・。でも力を馴染ませるって言うのは良いことだと思うわ

「よろしい、やってみなさいな」

「はい!」

 

 村に到着すると村人たちは気落ちしていて全体的に雰囲気が暗かった

 特に村が壊れてたり大きな事件が起こってるってわけじゃなさそうだけど、一応聞いてみないと何が起こってるか分からないわね

 村の中央にある井戸、そこの前に座っているおじいさんにリィリアちゃんが近づいていく

「あの、少しお話よろしいでしょうか?」

「ん? ああ、君は、冒険者か何かかな? いやそれにしては小さいし・・・、もしや聖女様!?」

「え、あ、はいまあ」

 確かにリィリアちゃんは元の世界で聖女と呼ばれてたはずだから、間違ってはいない

「それはそれは! では村を助けてくださるので!?」

「ええそうなりますね」

「おお、良かった、これで村も救われる」

 どうやら話しかけたのは村長さんだったみたい

 その村長さんの話を要約すると、村の井戸が突然枯れてしまい水が出てこなくなった

 生活用水も畑の水も全てこの井戸で賄っていたため、相当困ってるみたいね

 一応村の若い男の人達が井戸に繋がってる川を見に行ったみたいなんだけど、川にはなんの異変もなかったらしいわ

 川は村からかなり遠いみたいで、そこから水汲みに行くとなると道を切り開いて整備してからってなるから時間がかかりすぎる

 途方に暮れていた所で私達が来たってわけね

「恐らく地下洞で何かが起こっているのでしょうが、数日前の地震で入り口が崩れてしまい、内部を確認しに行けない状況なのです」

「なるほど分かりました。私達にお任せください」

 洞窟入り口の場所を聞き、私達は早速行ってみることにしたわ

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