白と黒と桜

 目の前にいる桜色の髪を持った可愛らしい少女こそが私達のご先祖様、神よりも強い絶桜鬼のサクラさん

 私より年下な見た目なのに胸がすごくおっきい

 彼女は人知を超えたかのような美しさで鬼ヶ島の男性たちを虜にしている

 本人はとにかく鬱陶しがっているけど、女の私から見ても惚れてしまいそうな危うさがある

 お姉ちゃんは全然そんなことないみたいなんだけどね

「ハクラより美しい者はこの世に存在しない」だそうです

 そのサクラさんなんだけど、私達全員を鍛えるために特殊な空間を作り出してそこに放り込んだ

 私とお姉ちゃんの二人、それから三鬼仙の九人会わせて十一人のいつものメンツだよ

「ぬー、なんか怖いっすねぇ。サクラさんすっごい威圧感でてるっす」

「様をつけなさい様を。全くアカネは」

「そうですわ。そういうところはちゃんとしておきませんと」

 三鬼仙数人がヒソヒソと話しているけど、サクラさんは別に怒ったりもせずにこやかにそんな様子をながめている

 まるでお母さんみたいでちょっと安心する

「はいそれでは皆、改めて私がサクラ。元この世界の鬼人にして最初の鬼神。あなた達の先祖でもありますね」

「先祖ってことは、モモタロウと関係はあるんですか?」

「そうね、あの子は突然この世界にやってきた異世界人でした。しかも強力な力を有した人間族。でもその力に溺れることの無い優しい性格の持ち主で、私の姪っ子とよく仲良くしていたわ」

「姪っ子って、もしかしてサクラ様はあのウラ様の?」

「ええ、ウラは私の弟です。あの子は気性の荒い子でしたが、娘には甘く、鬼人たちに真摯に向き合うモモタロウのことも気に入っていました。だからこそ二人の結婚を認めたのでしょう」

 サクラさんの昔話は聞いててすごく面白いものばかりだった

 かつては今よりも強い魔物や異世界から流入してきた魔物が多くて、いつもウラさんと二人でそんな魔物を退治していたらしい

 そんな中童子に進化し、ウラさんは島に残り島の鬼たちを守ることに、一方でサクラさんは島を離れて武者修行の旅に出た

 その道中で出会ったのがあの竜神様であるアンミツ姫様

 そう言えばあの時アンミツ姫様はサクラさんと親友だったっていってたっけ

 その武者修行も終わってからは島の人達に稽古をつけたりして余生を過ごしてたみたい

 そんなころに強大な敵、アヤカシが世界の外からやって来て鬼ヶ島を襲撃

 戦闘の最中ウラさんは殺され、怒り狂ったサクラ様は鬼神になった

 鬼神の力は圧倒的で、アヤカシを一瞬で屠ったんだけど、彼女は死ねなくなってしまった

 それがサクラさんの鬼神としての力だったから

 悲しんだけど、このまま鬼ヶ島を守る者として長い年月を過ごし、私達の両親が生まれた

 父上のキンゲツと母上のギンカは今後の鬼仙の可能性をサクラさんに示し、サクラさんは旅立つ決意をしたらしいの

 この世界から旅立ち更なる力をつけて私達のような次世代を鍛えるために

 サクラさんはずっと戦ってきた。全ての世界を襲うような脅威と

 それからこの世界とは時間の流れが違う世界に千年ほど王として君臨して、動き出した大きな悪に立ち向かう力を私達に授けるために戻って来た

 と言うのがサクラさんの現状らしい

「と言うわけで可愛い私の子供達。そこの九人には鬼神に成ってもらいます。それからそっちの白黒の可愛い二人は鬼神としての力をちゃんと発揮してもらうわ」

「鬼神としての力ですか?」

「そうよ。あなたたちは未だちゃんと力を使いこなせていない。黒い子はいい線いってるけどまだまだね。白い子はぜーんぜんよ」

「ぜ、全然なんですか・・・」

「そう落ち込むこともないわ。使い方が分かってないだけでちゃんと覚えれば使えるようになるわ」

「はい! 頑張ります!」

 がぜんやる気は湧いてきたよね。お姉ちゃんと一緒に、いえ、皆で一緒に強くなるんだ

 それにリディエラ様だって新しい力を手にいれるために頑張ってるんだもの。私もあの方に追いつけるよう頑張らなくちゃね

「取りあえずまずはこっちの子達ね。鬼神に成ってもらわないと始めれないもの」

「うへぇ、すぐっすか?」

「ええそうよ犬耳の可愛い子。少し厳しくいくから頑張ってね」

「わふん・・・」

 こうして私達の力を高めるためのサクラさんによる特訓が始まったのです

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