人間族の国再び6
僕が手にいれた根源魔法は生魔法というよくわからない魔法だった
根源魔法は唯一無二の魔法だから、使ってみないことにはどういう効果があるのか分からないんだ
でもそれって考えてみれば怖いことかも
だって根源魔法はとにかく強力で、下手をすれば世界一つを消しかねない
それを試し打ちしないとどういう魔法か分からないんだから怖いよ
でもここはアコ様が作り出した特殊な空間らしくて、そういった魔法を使っても外の世界がどうにかなるってことはないみたい
「よし、それでは根源魔法を撃ってみろ。俺が見極めてやる」
「はいよろしくお願いします!」
僕はその根源魔法を恐る恐る使ってみた
もう飲み込まれるような感覚は無いけどやっぱり怖いじゃない? でも何事も挑戦しなきゃね
力は僕の中にある。その流れを読み取って飲み込まれそうだったあの時の感覚とは違った、何というか僕の力になった根源の力を感じた
最初は怖かったけど、その根源はまるで僕を主と認めているかのように、また、僕に懐いてるかのようなそんな気配がする
そして僕は魔法を正しい名前で放った
「レナトゥス」
ふんわりとした光が僕の手を経て周囲を照らす
・・・
あれ? これだけ?
「あの、アコ様、これって」
「うむ、どうやら攻撃をするための魔法ではないな。まあ生魔法という名前からしてそうなのだろうが・・・。生、生か。そうだ、ちょっとこれに魔法をかけてみてくれ」
アコ様は隣でペロペロキャンディをかじっていたトコ様からキャンディを奪うと僕に渡した
「うわああああん! 何するっちぃいい! あちきのアメちゃんがぁあああ!! うあああああん」
「まあ待てトコ、すぐに返すから」
トコ様、本当に幼女だよこれ・・・
とりあえず渡されたキャンディに魔法をかけてみた
「レナトゥス」
するとキャンディがまるで逆再生のように齧られた部分が元に戻って行った
「え、どういう理屈なのこれ・・・」
「時間が戻っているのとはまた違うようだな。再生、しているのか?」
「でもこれだと逆再生のような?感じじゃないですか?」
「ビデオの巻き戻しのようなものか?」
「巻き戻し?ってなんですか?」
「アハハアコさん、世代ギャップっすね。今時の子は巻き戻しとは言わないんすよ」
「うるさい」
アコさんに拳骨をもらってヨウコ様は頭をさすり涙目で痛がってる
結構な音がしたから本当に痛いんだろうなぁ
「早くアメちゃんを返すっち!」
「おっとすまんなトコ。ほら」
「にひ~」
再びキャンディを受け取ったトコ様は齧った部分が元に戻ったことで喜んでる。またキャンディをペロペロと嘗め始めた
「うぴょあ! 前より美味しくなってるっち!」
そんなことはないと思うけど、トコ様が喜んでいるならいいか
でも生の力がよくわからないままだ
今見た通りトコ様のキャンディが再生した
それなら例えば傷、傷は治るのか? 治るとしたらどの程度なのか? 欠損までいけるのかな?
それに死した魂までをも再生させるのか? その場合どの程度の時間まで大丈夫なのか?
非生命だけなのかそれとも生命自体にも大丈夫なのか?
とにかく疑問が多い魔法だね
でもそれはこれから使って行けば判明していくだろうとアコ様は言ってる
「取りあえずは根源魔法は取得できたんだ。しかしお前の根源魔法、まるで意思を・・・。いやそんなはずはないか」
「さあ気を取り直して最後の試練っすよ! 俺が教える大事な大事な試練っす! これこそ一番リディエラちゃんに教えたかったことっす!」
ものすごく張り切ってるヨウコ様、目をキラキラに輝かせてなんて嬉しそうな顔をするんだ
「その試練と言うのはどう言うものなんですか?」
「ふっふっふ~、よくぞ聞いてくれたっす! これこそ精霊最大の力! そして精霊の神となった君の一番重要な力なんす!」
「ゴクリ」
「そう、それは精霊召喚っす!」
「え? それって」
「ふっふ~、驚いたっすか? 眷属の精霊達を召喚する力なんすよ!」
「えっとそれ、多分僕できるんですけど」
「え?」
以前はよく使ってたけど最近は使ってなかった精霊召喚。それは僕の得意とする魔法だ
「じゃあここに召喚してみるっす」
「え、でも迷宮ってそういった魔法を遮断しちゃうんじゃ?」
そう、迷宮はいわば異世界で、外から、あるいは中からの干渉ができないんだ
だから精霊召喚も当然できないってわけだ
「あー勘違いしてるっすねー。誰が魔法で精霊召喚をしろって言ったっすか? 全然違うっす! 俺はどこにいようともできる精霊召喚のことを言ってるんす」
「え、それって異世界にも僕の眷属を召喚できるってことですか?」
「そういう事っす! 世界の壁を超える召喚、それこそが異世界召喚術奥義、精霊召喚っす!」
何それ凄い! じゃあじゃあ僕の大切な家族のテュネたち、四大精霊を異世界にも呼べるってことなんだ!
「是非教えてください師匠!」
「うむ! 良い心意気っす! その師匠って言うのは気に入ったっすからこれからそう呼んでほしいっすね」
「はい師匠!」
身もだえして照れるヨウコ様に僕は新しい精霊召喚をならうことになった
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