神の如くは白と黒2
城の客室で待っているとそこに王女のナーリャちゃんが入って来た
前に見たときはもっと小さかったんだけど、今の見た目は私達と変わらないくらいに成長してた
それにおてんばだった印象だったけど、今は清楚で可憐って感じ
髪は肩口までで私と同じ前髪パッツン。頭の上はトサカみたいに髪の毛が逆立っている
背中にある大きくて白い翼は王族の証で、お父さんのゼラーヴァさんも同じく真っ白で力強い翼を持ってる
「クロハお姉ちゃん、ハクラお姉ちゃん、お久しぶりです」
昔はよく遊んでたから、久しぶりにそう呼ばれてちょっとむず痒いかな
「ナーリャちゃん、久しぶりだね。ほらおいで!」
私は手を広げて胸に飛び込んでくるよう促したけど、ナーリャちゃんは恥ずかしがって抱き着いて来てはくれなかった
昔はもっとべったりと来てくれてたのに・・・。成長しちゃったんだね
成長と言えば胸がすごいことになってる
私は下を見る。地面まで遮るものがないよ
「ハクラお姉ちゃん、相変わらずですね。元気そうで安心しましたよ。それになんだか不思議な力を感じるんですが」
「あら、ナーリャには分かるのね。さすが翼王の娘ね。良い眼を持っているわ」
そういえば翼人の王族は他の翼人に比べて優れた眼を持ってるって聞いたことがある
“ホークアイ”と呼ばれるそのスキルは、遠くを見渡せるだけじゃなくて、力の流れまで見える
「すごい、二人ともいろんな力の流れが見えます」
「いっぱい修行したからね~」
それから私達の修行の話、ナーリャちゃんの近況なんかを聞いて盛り上がった
で、ナーリャちゃんのお父さん、ゼラーヴァさんの公務が終わったから会いに行くことになった
「お姉ちゃんたち、あの問題を解決しに来てくれたんですよね」
「うん、詳しい話はゼラーヴァさんに聞いてからだけどね」
「私達は今鬼神になるため各地の強敵と戦っているの。ここでも復活した魔物が暴れているんでしょう?」
「はい、かつての国王ザオノースによって封じられた厄災級の魔物です。その魔物と一騎打ちとなったザオノースはその時の怪我が元で亡くなりました」
そっか、それにしても一騎打ちなんて、ザオノースさんは勇敢な王様だったんだね
ナーリャちゃんの案内で国王ゼラーヴァさんのいる私室へとやって来た私達
ナーリャちゃんがノックすると返事が返って来た
「入りなさい」
中に入るとたくさんの本が積みあがったごちゃごちゃとした部屋だった
「おお、クロハ姫にハクラ姫か、大きくなって。父上と母上の葬儀以来じゃないか」
あの葬儀の時は各国からたくさんの人が来てくれた
ゼラーヴァさんもその一人。あの時と比べると少し白髪が増えたかな
「お久しぶりですゼラーヴァ王。今は私とハクラが鬼ヶ島の島主を務めております」
「ほぉ、そうかそうか、息災そうで何よりだ。どれ、そこに座りなさい。茶でも出そう」
「お父様、それは私が」
「む、そうか、ではナーリャ、お願いするよ」
相変わらずゼラーヴァさんは穏やかな物腰で、皆を包み込んでくれるような優しさに満ちている
国民からの指示も厚くて、その性格はナーリャちゃんにもしっかりと受け継がれてるね
「さて、もう聞いているとは思うが、魔獣デイウォークセブが復活した。これは日のあるうちに活動し、森を喰いつくすと言われる魔獣だ。日が暮れれば活動を停止するが、あまりにも硬い皮膚に覆われているためこちらの攻撃が効かなかった。倒せないまま近隣の森の約二割が奴によって消失してしまった。このままでは森が完全に失われるのも時間の問題だろう」
「分かりました。私達がそのセブを倒します」
「おお、よろしく頼む。私達よりもはるかに強力な力を持った姫たちならば、倒せるかもしれない」
厄災級。神話級には劣るけど、それでも国一つを地図から消すくらいの危険性があるのよね
早急に倒さなくちゃ
「現在セブは日暮れのため沈黙したとのことです。お姉ちゃ、クロハ姫、ハクラ姫、どうかセブを、お願いします」
ナーリャちゃんからも念押しでお願いされたとあっちゃ、解決しないと鬼人の名折れ
私は胸をポンと叩いて任せてと言った
誰? ない胸を叩いたって言った人は
準備を整えていざセブの元へ
豪快にもたくさんの木々を喰らったセブはお腹を上に向けて物凄い音のいびきを立てていた
「ハクラ、先手必勝で行くわよ」
「うん!」
二人で力を溜める
まわりは森だからお姉ちゃんの得意な炎の力は使えない
だから私中心で力を練って、二人で一緒に攻撃した
「「気魔仙力解放、
一点に力を集中させるために鋭くとがった氷をお腹に向かって放った
刺さった瞬間傷口から凍っていくイメージの力を行使したけど、お腹は思った以上に硬くて氷はあっさり弾かれちゃった
これは一筋縄じゃ行かなさそう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます