白黒 童子姉妹の冒険終

 私達は数週間にわたって神話級15体を倒した

 麒麟や鳳凰、そして玄武、朱雀に青龍といった四宝神獣など、ほぼすべての神話級を倒すことができた

 ただ、フェンリルやヤマタノオロチといった本当に神々と戦っている神話級はレベルが違ってて、カイトさんの力を少し借りたけどね

「うんうん、もうどこへ行こうともやっていけるくらいに強くなったね。僕の教えれることはもうないよ。あとは自分たちでその力を高めていくんだ」

 カイトさんの満足したような、嬉しそうな表情でようやく私達の修行が終わったことを理解した

 ここからはさらに研鑽を摘んでいくことで鬼神になる

 ようやく今鬼神へのスタートラインに立ったばかりってところかな?って思ってたんだけど、鬼神までもうすぐなんだって

 すでに神話級を幾匹も倒してる。力だけならほぼ鬼神に近いらしいの

 じゃぁ鬼神にならないのはなぜか? それは神力の会得

 この力は神様の加護や神様自体が憑くことで得ることができるみたい

 神と名のつく種族はみんなこの力を持ってて、加護や神様がついてるみたい

 そっか、だから九尾族も神様に近い力をもってるのね

 アンミツ姫の場合は龍の神であるリュコ様から、絶桜鬼さんは鬼人の神クオン様からそれぞれ加護をもらってたみたいね

「えっと、君たちの友達、今修行を終えてこっちに向かってきてるみたいだよ」

 アカネたちも終わったんだ

 あの三人は童子までもう少しだったからきっと進化を果たしてるはず!

 しばらく待っていると気配がした。アカネたちの気配

 いつも身近に感じていた大好きな親友たちだから間違い様がない

「クロハ様ー! ハクラ様ー!」

 アカネの声が響く。いつも通り元気なんだけど、私とお姉ちゃんはその姿を見て驚いた

 それぞれが少女だったはずなのに、成長して美女になってる!

 アカネは健康的な美人、ソウカはおっとり系、キキはクールビューティー

 キキ、私と同じでそこは成長しなかったんだね

 私の視線を察したのか、キキもうなだれるようにうなずいてお互いにため息をついた

「さてと、お前たちに教えれることは我らにはもうない。あとは各自で強くなっていくしかないのぉ。絶桜鬼もそうじゃったわ」

 絶桜鬼さんは私達と違って鬼神への道を自ら見つけ出した

 後に続くであろう鬼人族にその道を示してくれた

 もしもどこかで会えるならお礼を是非とも言いたいな

 カイトさんの元を離れてアンミツ姫の居城へ

 門の前では人型になった五王龍たちが出迎えてくれてる

 男子禁制だからジュマさん、マキラさん、モウビさんの三龍と一緒に中へ

 残りの二龍は門の近くにある小屋へ入って行った

 可哀そうだけど、こればっかりはアンミツ姫が許可してくれないとどうしようもないのよね

 中に入るとアンミツ姫含め龍たちがせかせかと屋敷内を動き始めた

「これからごちそうを作るのじゃ。マキラ、お前はおやつを作れ。ジュマは温泉の準備。モウビは龍の火で我らの料理補助じゃ」

 的確な指示を伝えていたその時、ロダルさんが息を切らして慌てながら入って来た

「何じゃ! ここは男子禁制じゃと言うておろうが!」

「それどころじゃないです。アンミツ姫様、カイト様が急ぎの用だと」

「なんじゃ? カイトがか? ふむ、さっきまで一緒におったろうに、何の用なんじゃ」

 しぶしぶと言った様子でアンミツ姫はカイトさんに会いに行く

「君たちもだ 早く行きなさい」

 え? 私達も?

 とりあえずアンミツ姫の後について行くと、門の前でカイトさんが笑顔で立っていた

「やぁ、君たちが帰った後大変なことが起きてね」

「なんじゃ? お主でも倒せぬ神話級が来たか?」

「実はそうなんだよ」

「何じゃと!?」

「あ、大丈夫、危険性は一切ないから。なにせ神様だからね、来たの」

「「はい!?」」

 私達は一斉に耳を疑って聞きなおした

「それがさ、クロハちゃん、ハクラちゃん。君たち二人に用事があるみたいなんだよね」

 神様が私達に何の用なのかな? ちょっと怖いけど、覚悟を決めてカイトさんについて行く

 すると一人の少女が優雅に、神々しく立っていた

「その子たちが?」

「はい、エイシャ様」

 エイシャ様と呼ばれた少女は私とお姉ちゃんを値踏みするように見つめる

 神様、なんだろうけど、何の神様なんだろう?

「あ、ごめんね。私はエイシャ、力の女神よ」

 その女神さまは力を司る女神様で、全ての神様の権能を使えると言うとんでもない女神様だった

「ちょっとあなたたちにお願いしたいことがあるの」

 そう言って女神エイシャ様がおっしゃったのは私達のこれからの運命を大きく変え、この世界を変えるような大きな波のことで、お姉ちゃんと私はその波に飛び込み、ある人を手助けするという重要なお願いだった

 私達の運命は、この日意図しなかった方向へと回り始めた

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