白黒 童子姉妹の冒険12
全ての劣化神話級の強化個体を倒し終えた私達はへとへとになっていた
昨日の時点で結構な数を倒したけど、今日はその倍近くと戦ったんだもん。もう一歩も動けないよ
「ようやったのお前たち。恐るべき成長速度じゃ。今日はごちそうを作ってやるぞ」
アンミツ姫が作ってくれる料理はどれもこれも絶品だから楽しみ! 特にスイーツには並々ならぬ情熱を注いでると見えるね
美味しさが一線を画してるもん
アンミツは最高峰に美味しいんだけど、それ以外に作るスイーツも達人級なんだよね
「準備をするから風呂にでも入ってくるがいいぞ」
言われた通りに私とお姉ちゃんはあの大浴場へ向かった
汗と汚れをすっきり落としたい願望がもう限界だったから少し小走りで
その途中で偶然訓練の終わったアカネたちと合流できた
「ハクラ様!どうっすか? やっぱりアンミツ姫様って厳しいんですか?」
「えっとね、優しい、かな? アンミツ姫って呼ばないと怒るけど、それ以外の時はニコニコしてる気の良い人だよ」
「そっすか~、こっちは龍王さんたちと修行してるんすけど、やっぱり強いんす。ほら、この傷とかこの傷、氷女王のマキラさんから付けられたんす。痛かったすよ。氷の刃」
結構深く切れているみたいだけど、お風呂にはいれば大丈夫! スライムちゃんはなんと傷を綺麗に再生してくれる効果もあるのよね
この効果は絶大で、手足がちぎれても再生するほど
こんなスライムを創り出す技術があるって、アンミツ姫って本当に凄い
「ふい~、気持ちいいね~」
「私は苦手です。最近はタオルでガードしてます」
「私も~、ハクラ様も~ガードしてます~?」
「うん、確かにあれはちょっとね」
何がとは言わないけど、皆ガードをしています。何がとは聞かないでください
お風呂から上がると龍王の女性たちが入れ違いに入って行った
人間形態を初めて見たけど、氷女王のマキラさんってこんなにきれいなんだ
木女王のジュマさんはたれ目のおっとり系、火女王のモウビさんは目付き鋭いワイルド系で、三人とも女性としての魅力にあふれていた
私達もこんな女性になりたいなぁ。できればマキラさんみたいな余裕のある感じのね
「じゃ、あたしらは別の修行があるらしいのでこっちに行きますね」
アカネは元気に手を振って行ってしまった
いつも一緒にいた三人がいないのは寂しいけど、これも修行が終わるまでの間だから元気出そう! それにアカネたちは私達でもわかるくらい強くなってる
オーラって言うのかな? 漂う力の流れが全然違うもん。きっと童子に成るのももうすぐね!
「お、戻って来たか。丁度料理が完成したところじゃ。早う席に着け」
これぞ豪華絢爛と言うようなごちそうの量! お風呂に入っていた少しの間でこれほどの料理が出来るなんてアンミツ姫の料理の腕がすごいことだけはわかる
味も当然超一流で、どれもこれも美味しすぎて幸せが一口ごとに押し寄せるみたいだった
「ふ~、大満足です。アンミツ姫の料理、毎日食べたいくらいですよ」
「それは我に求婚しておるのか? ハクラ、お前なら我の嫁にもろうてやってもいいぞ」
「へ?」
「本気じゃ」
冗談じゃ、じゃないの!? びっくりしてポカンと口を開けているとアンミツ姫がゆっくり近づいてきて、私の唇近くにキキキキスを!
「な!アンミツ姫様! ハクラに何をしてるんですか!」
「よいではないか。減るものではなかろう」
私は体中を真っ赤に染めて頭から煙を吹いていたと後でお姉ちゃんに聞いた
だって、そのまま気絶しちゃったから
あまりのことに情報処理ができなくなった私の脳は強制的に意識を落としちゃったみたい
「大丈夫ハクラ?」
目を覚ますとここに来てからいつも寝ているベッドの上だった
お姉ちゃんが心配そうに顔を覗き込んでいる
「疲れもあったんだろうけど、まったく、アンミツ姫様も人が悪い。あれは本気の目だったわ。ハクラ、いくら言い寄られても受けちゃだめよ。ホントにアンミツ姫様のお嫁にされちゃうわよ」
「う、うん、気を付ける」
確かにあの目は狂気と言うか、何としても欲しいというような炎が宿っていたように感じる
これからは少し距離を置かないと身の危険がありそうなくらいに
「お、目が覚めたようじゃの。明日からのメニューなんじゃが、どうしたんじゃ?」
私がジトっと見ているのに気付いたアンミツ姫はちょっと頬を赤らめて誘うようにクネクネと変な動きを
とりあえず無視してメニューの話を聞いた
「ふむ、明日は実際に神話級と戦ってみてもらおうと思う。カイトのところでな」
カイトさんはこの世界を神話級から守っている異世界人
本当に強い人で、神様からこの世界の防衛を任せられている
なぜこの世界を神話級が襲いに来るのかについては知らないけど、そんな強力な敵と一人で戦い続けるカイトさんのことは私もお姉ちゃんも三獣鬼も、アンミツ姫も尊敬している
うう、今から緊張してきたよ
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