プロローグ2
周りを見てみると、森の中のようだ
深い深い森、息を吸い込もうとするが、呼吸ができない?
あれ?呼吸ってどうすればいいんだろう? 息してないぞ僕
自分の手を見てみた。うっすらと透けているし、なんだか光ってる
なぜだろうか、息をしていないし透けているのに全く恐怖は感じない
もう一度周りに目を向けてみると、自分を見つめるいくつかの小さな影が見えた
誰?いや、なんだこの小さいのは
何かよくわからない小さな人型の生物が僕を取り囲んでいる
「生まれた生まれた」
「ほんとだ生まれた」
「どんな精霊?」
「すごいよこの子、いや、この方は」
「精霊の姫様だ」
「やったー!女王様の娘だぁ!」
娘?という単語にひっかかったが、その小さな生物はどうやら話せるようだ
「ここはどこ?君たちは一体何なの?」
彼らはクスクス笑うだけで何も答えてくれない
でも、まるでついて来いとばかりに腕を引っ張って先導してくれている
しょうがない、何もわからないんだしついて行こう
ついて行く間に彼らは自己紹介をしてくれた
彼らは妖精で、精霊女王に仕えるハイピクシーなんだそうだ
ということはここはもう異世界で間違いはない
自分がいた世界、眼が見えていなかったが元いた世界には妖精などという者はおとぎ話の中にしかいなかった
そして僕は精霊女王が自らの力を分け与えて産んだ最上位の精霊王マクスウェルなのだという
僕が、精霊?確かに体は透けているし、歩かなくても少し浮いて移動できている
原理は分からないけど自然とできた。ついでに言うと前世と性別が違うみたいである
精霊に性別があるのかよく知らないが、上位の精霊だとあるらしい。まあいつでも変身して変えれるみたいだからあまり意味はないか
ハイピクシーたちは嬉しそうに僕の周りを飛び回っている
彼らと話しているうちに目的地へとたどり着いたようだ
そこは巨大な樹にできた建物で、中に入ると心の底から癒されるような雰囲気を醸し出していた
「着いた」
「着いた着いた」
「こっちこっち」
「ここが女王様のお部屋」
口々にハイピクシーたちが部屋へと案内する
中に入ると、部屋というにはあまりにも広い場所だった
その奥に一人の美しい女性が座っていた
オーロラのように波打ち輝く長い長い髪に周りを映し出す宝石のような青い瞳
絶世の美女で、彼女も僕と同じく少し透けていた
「おお、産まれたのですね。私の、愛しい子」
椅子からふわりと降り立つと、彼女は僕をヒシと抱きしめた
温かい
前世で母さんが僕を抱きしめてくれていたのを思い出す。僕はそのままされるがままに身を委ねた
少し落ち着くと、精霊の女王は語った
「私の名前はシルフェイン、あなたの母にして精霊を束ねる女王です」
どうやら僕の今世での母さんは精霊の女王だったようで、僕にもその力が受け継がれているのだった
「あなたは、そうですね、リディエラと名付けましょう」
母さんは僕にリディエラという名前をくれた
「本来なら精霊王は勇者に力を授ける存在なのです。あなたも多分に漏れずそうなるはずでしたが、私が力を授けた勇者が邪悪なる者を全て払ってくれたためにこの世界は平和そのものです。だからあなたは自由に暮らしなさい」
母さんはそう僕につげた
「はい、僕も母さんのような立派な精霊と成れるよう努力しますね」
そう返すと母さんは本当に愛おしそうに僕をまた抱きしめた
そして頭を撫でながら「あなたには精霊や妖精たちがついています。いざとなったら彼らを頼るのですよ」と言った
僕はうなずく。そして、僕のゆったりまったりな生活が始まったのだ
まずは家を探す、もしくは作ろう。それに、この世界の人間とも接点を持ちたいし、やりたいことはいっぱいある
何せ僕は前世ではほとんど何もできなかったのだ
謳歌しよう!この素晴らしき精霊生を!
僕はふわりと体を浮かべてしばらく妖精たちとこの森を飛びまわった
そして数ヵ月が経った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます