あの頃の話 その一

泉にレイガくんがまた来たので少し話をした時、レイガくんは私の顔をじっと見て来た。


「何?レイガくん」

「お前はここに居る時は布を被っていないが何故、左目辺りを髪で隠している?傷でもあるのか?」

「ここに居る時に布を被ってないのは、ここにはレイガくんくらいしか来ないから良いかな?って思って被ってない。髪で左目辺りを隠しているのは、別に傷を隠してる訳じゃないんだ」


そう言ってから私はレイガくんの方を見て左目辺りにある髪をどける。


「こうなってるから隠してるんだ。目立つからね」

「っ!オッドアイか!確かに黒い髪にその青い目は目立つな。オッドアイというだけで珍しいからな」


私が左目を隠しているのは、左目が青で右目が黒のオッドアイだからだ。

何故左目の方を隠したかというと、黒い髪に青い目を持つ人はあまり居ない。

どれくらい居ないかというと、国に一人居るかな?くらいの少なさなので、誘拐して売ろうとする人が結局いる。

かなり高い金になるらしい。

加えて私はオッドアイでもあるのでもっと希少価値があるだろう。

オッドアイも黒い髪に青い目を持つ人達くらい少ない。


「レイガくんの目も珍しいよね。水色の目って初めて見たよ」

「お前ほどではないがな。確かに珍しい色だろうな」


そのあとも色々とレイガくんと話をした。

(レイガくんに見られてるとドキドキするな?何でだろ?)



レイガ視点



セイカは泉に居る時は布を被っていない。

綺麗で艶やかな黒い髪と同じ色の右目を見せているが、左目をその黒い髪で隠している。

理由を聞くと左目を見せてきた。

あまりにも綺麗な青い目がそこにあった。


セイカの色合いはとても珍しく裏のオークションなどでは一生遊んで暮らせるくらいの金で売れるだろう。

色合いだけではなく、セイカ自身が美しいのでそれだけでもかなりの金になるだろう。

セイカが隠しているのは自己防衛の為には必要な事だと納得した。


セイカの目を静かに見ているとセイカが俺の目の色も珍しいと言う。

確かに珍しいだろうがセイカほどではないと答えた。


「俺は俺の目の色があまり好きではない。冷たく見えるだろう?」


他の奴にどう見られ様がどうでもいいがセイカには冷たく見られたくはないのだ。


「確かに冷たく見える人には冷たい様に見えるかもしれないけど、私はレイガくんの目の色がこの泉みたいに優しくて綺麗で暖かくって良いなって思うよ。私はこの泉が大好きだからレイガくんの目の色もそう思うんだ」


俺はセイカから顔を背けた。

今の俺の顔は見せられないくらい真っ赤な上に嬉し過ぎてにやけているだろう。

(お前が俺の目の色を好きだと言った瞬間に俺もこの目の色に生まれて良かったと思った。俺はなんて現金な奴なのだろうな)



セイカ視点



レイガくんの目の色について話していたらレイガくんが急に顔を背けた。

だけど私はその行動をしてくれて正直助かったと思った。

レイガくんの目の色を直接に好きだと言ってないのに私の顔は真っ赤に染まった。

(出会って少ししかたってないのに、そんな嘘だろ?けど、、、ドキドキするのが止まらない、、、。私はレイガくんに、、、)



(ああ、私はレイガくんに恋をしている。けど、レイガくんは私の事を友達だと思ってる。レイガくんに恋をしているとバレたら私の事を友達だと思っているレイガくんの信頼を裏切ったと思われて嫌われるかもしれない)


私はしばらく考えて答えを出す。


(レイガくんを思うのは私の自由だ。だけどレイガくんに嫌われたくない。だから私はレイガくんが好きだという事を態度にも言葉にも絶対に出さない。だから嫌わないで欲しいな)


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