布のお礼を言う

今、私は治癒科にいる。

カンナさんは何処に居るのか探していると治癒科の女の子が声をかけてくれた。


「あの、吟遊科の人ですよね?どうかしましたか?」

「ああ、あの、カンナさんはいますか?」

「カンナちゃんですか?カンナちゃんなら先生に呼ばれて今はいませんけど」

「あー、同い年だから敬語はいらないよ」

「そうなんだ。カンナちゃんなら多分もうすぐ帰ってくると思うよ」

「ありがとう。ごめんね、君の時間少し無駄にさせたね。お礼にこれ良かったら食べてくれると嬉しいよ」


時間を取らせたお礼にお菓子(ランジェさんのではなく吟遊科でいつも渡されるお菓子)を渡す。


「そんな、こんな事で」

「でも、私は困っていた時に君に声をかけてもらって嬉しかったから、可愛い女の子に親切にされたら嬉しいでしょ?だから、受け取ってもらえると私は嬉しいよ」

「あ、う、あ、あの、ありがとう、お菓子貰うね」

「うん、じゃあね」

「うっ、うん!また!」


女の子は何故か顔を真っ赤にさせてお菓子を受け取ったら走って去っていった。

(どうしたんだろう?大丈夫かな?あ、カンナが帰って来たみたいだ)


「あの、カンナさん?」

「はい、そうですよ」

「この布を私にくれたのはカンナさんだよね」

「あ、あの、もしかして、レイガ様と一緒にいた」

「うん、そうだよ。私好みの綺麗な布をくれたから、ありがとうって言おうと思って来たんだ」

「いえ、その布は私の感謝の気持ちです。あの時、布を渡してくださり、ありがとうございます」


カンナは私に頭を下げてお礼を言うので、私はその頭を優しく撫でて言った。


「私もお礼を言うよ。ありがとう、この布凄く気に入ったよ。カンナさんは綺麗な心を持ってるね」

「え?あの、」

「だってさ、こんなに綺麗で優しい色合いをした布を私の為に選んでくれたんでしょ?」

「は、はい」

「一生懸命に選んでくれた布がこんなに綺麗なんだから、これをくれた君はこの布みたいに綺麗で優しい人なんだろうなって分かるよ」

「そ、そんな、事は、」

「私はそう思ってるから、ありがとう。じゃあね、次の授業が始まるから帰るね」

「は、はい」


私は吟遊科に帰る為にその場を離れた。

(カンナさん途中で顔赤く成ったけど、頭撫でられるの恥ずかしかったのかな?まぁ、お礼を言えたから良いか)


私はカンナが赤く成った顔でぽーっとして言った言葉を知らなかった。


「カッコいいです。今度はお名前をお伺いしたいです」


私は次の授業の為に吟遊科に向かった。


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