第9話

 莉菜と蓮は公園のベンチに座っていた。

 

「ごめん。ありがとう」

「……うん」

「どうして、あそこに居るって分かったの?」

「茜から、聞いてたんだ。「今日、莉菜と、2対2で合コンするから」って。それで、合コンの様子、盗み見してた」

「いつから?」

「最初から」

「全部、見てたって事?」

「うん」

 

 頭を抱える莉菜。

 

 「何で、あんなに飲んでたんだよ? 普段から酒なんて飲まないのに」

「……ごめんなさい。何か、全部忘れたくて」

 

 莉菜の忘れたい事。

 それが何なのか、蓮は想像がついていた。

 だから……。 


「……なぁ、莉菜。やっぱり俺たち、もう一度……」

 

 しかし、

 

「ダメ……。ダメなんだよ。もう……」

「……何で?」

「蓮はね、もう今までの蓮んじゃないんだよ。私が独占していいよな存在じゃないの。だから、ね……」

 

 莉菜はベンチから立ち上がる。


「今日は本当にありがとう。これからも頑張ってね。応援してる。さようなら」


 そう言い残すと、莉菜は、蓮の前から立ち去ったのだった。

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