第40話さよならのメリークリスマス2

外に出ると

空気は冷たく、少し風があり一気に体の芯まで冷えるような寒さだった


雪が降っていた


「ホワイトクリスマス、こりゃまたベタですなー。まあ、、でも、これくらいなきゃあかんすかねぇ」


寒さに少し身を縮こまらせるたなりゅー


ベタではあるけど、何でこれがないといけないのだろうかと妙な言い回しに言及する前に


「さむーーーい」


と、最後に出てきたハルさんが飛びついてきた


「危ないですよ、そんな急に走ったら」


慌てて飛びつくハルさんを支えた


どうなってるんだ今日のハルさんは


箱に折角入れたケーキの心配もしつつ


さて、ボチボチ寒いし帰りまっか


というたなりゅーに促され4人で店を後にした



交差点に差し掛かったところで


「ほんならこれで、雪君達お気をつけて」

と、マネージャーとたなりゅーは曲がっていった


野暮な事は聞かないけど


なんかナチュラルに大人びたやつだなと改めて思った


「うー寒いー夜空綺麗だけど止まって見るの無理だー。早く行こ雪ちゃん」


うちに行くのか帰るのか、プレゼントどうしよう


どうするのか聞く間もなく店を出てしまって、今更ながらに内心慌てる


半分引っ張られながら向かう方向は僕の家


とりあえず、だいぶ酔ってるしこんなに寒いし


一応ケーキもあるし、仕切り直しでうちに向かうか


そう思い、自宅へと向かった僕とハルさん


腕を組み、寄り添いながらクリスマスの夜に歩く僕達


白い2つの吐息がすぐに夜の空に消えて


チラホラと降る雪が冷たくて


すぐ隣にハルさんが居て


今日は少し特別な日で


不思議な気持ちと気恥しい気持ちが一杯で


僕とハルさんは自宅へと向かった




自宅に着いてやっと寒さから解放され、


とりあえず酔いを冷まさないとと思ったけど、冷えた体に水はどうかと



ケーキもあるし、ホットの紅茶をケトルで沸かして、持ってきてたケーキと出そうと思った


「ハルさん、ケーキ食べれそうですか?」


そう聞くと


「食べたいー!」


と言い、


あれ、でもいつの間に?って顔をしてるハルさん


貴女が酔ってる間にですと心の中でツッコミを入れながら用意をした




テーブルにショートケーキとホットレモンティーを並べてようやく落ち着いた


まだほんのり赤いけど、帰り道で幾分か酔いが冷めたようで大丈夫そうだった


「改めてメリークリスマス」


マグカップをコツンと合わせた




ケーキを食べて、テレビを見ながら少しだらだらとした


一旦冷めたし、も少し飲みたいなと言うハルさんに、冷蔵庫に兄貴のビールとか無いかと探したらなぜかシャンパンが入っていて


雪、クリスマスと書かれていた


疑問が沢山浮かんだけど


折角兄貴が用意してくれいたものだし、それを開ける事にした




しばらくして、ふと、ハルさんの視線に違和感を感じた


その先を見ると


ケーキを出した時につい携帯や財布と一緒にプレゼントの袋を出してしまっていた


包装が、一目で思いきりクリスマスプレゼントですよーと分かる


しまった


サプライズに拘ったわけではないけれど


驚かせたかった気持ちはあった


先にバレてしまった



テレビを見ているようで包装を気にしてるハルさん


もうここでいいかと思い


わざとらしく


「そういえば、ちょっと渡したいものがあって」


と切り出した


何処かいつも違う、クリスマスプレゼントを楽しみにする子供のような顔をするハルさん


自分が特別と思ったことはないけど

ハルさんのこんな顔を見れるのは僕だけなのかなと不意に過ぎった


何でそんなことを、、酔ってるのかな


ダメだ、ちゃんと渡さないと


酔ってる場合じゃない


「えと、いつもお世話になって、楽しい時間ホントありがとうハルさん。丁度クリスマスだし、普段のお礼も兼ねてというか、、何かプレゼントしたいと思ってて、この機会に渡そうと思って、バイトして買ったやつで、あんまいいもんじゃないんですけど、貰って下さい」


ハルさんの目の前に座り、包装された袋を手渡した


恥ずかしくて顔が見れない


渡した時、ハルさんの手は少し震えていた










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