第30話棚岡隆也とハル先輩-9-
「ほんと寒いねー」
いつもも何ら変わりなく、ハルさんのバイクの後ろに乗り過ごしていた
「この時期になると車が羨ましいよ」
寒すぎて一旦路肩に単車を止めて、ホットを飲みながら肩を落としぼやくハル先輩
ああ、僕はまだ免許も取れない歳で
ハル先輩はどっちも取れるんだよなー
今差ながらにふと思った
「雪ちゃん課題とかはちゃんとやる?」
「まだ決めてません、自分でやるか東中野に賄賂と引き換えに裏技か」
「なんだそれ」
カラカラと笑うハル先輩
あ、そういえば
と急に切り出すハル先輩
「雪ちゃんクリスマスあたり空いてる?空いてなくても、冬馬くんとかなんか企画するだろうし皆参加前提だからあんま聞いても意味無いけど」
「特に何もです。まあ兄貴がイベントとかなにかしらやるならバイトがてら参加ですかね」
「冬馬くんの周りは冬馬くん様々だね、ぼっちのクリスマスを回避できるから」
ハル先輩なら兄貴絡み無しでもいくらでもお誘いが来ると思うんだけどなー、って本人がそっちにはその気がないからそれもそうか
「ハルさん、なんか欲しいものあります?」
「え?」
突然フリーズするハルさん
僕も脈絡もなしに言ったからかな?
でもクリスマスの話からだから伝わると思ったんだけど
「えと、いつもお世話になってますし、ちゃんとバイトのお金で買うものですし何かハルさんにクリスマスプレゼントをと思ったんですが、そういうの、疎くてサプライズみたいなの出来ないから、欲しいものを聞こうかと」
「べ、別にそんな気使わないでよ。てか雪ちゃんは何か欲しいものあるの?むしろあたしがあげる側だし。お姉さんなんだからっ。まあ、かくいうあたしもてんでわかんないから恥ずかしながら直接聞くんだけど」
「日頃お世話になってるのに貰うのも気が引けるってのありますが、お言葉に甘えると、、、なんでも嬉しいですね」
ハルさんがまた固まった
顔が真っ赤だ
その瞬間僕は自分がとんでもなく恥ずかしい事を言ってる気がして僕も固まってしまった
「お、お互いなにか見つかったらこれがいいって言おう、うん」
しどろもどろになりつつハルさんはこの話題を閉めた
実は何も言ってこなかったらもうこれにしようと言うものが決まってるけど言わないでおいた
それは、もしかしたら深い意味になるかもしれなくて、いい意味でないかもしれないから
兄貴の、都内の受験のゴリ押し
僕の中で1つ仮説がたった
考えたくない仮説だから、兄貴やハルさんには口にしてないけど
もしかしたら、この毎日がもうあと僅かであるかもしれないということ
たなりゅーも薄々勘づいてはいるものの、口にしてこず、でもそれは確率的にあるもので、だから先日やたら煽ってきたと思った
煽られても当人同士、心にあるものを口にしてないから違ったら赤っ恥黒歴史確定
でも、確かめないといけない気がする
ここらで
思い切って兄貴に話してみようかな
恥ずかしいけど
まだ本人と話すよりは違った時の気まずさもないし
「さ、もう少しだよ」
ちょっとしたイルミネーションがある場所へ向かってる最中の僕ら
全くもって悪い意味じゃないけど、ハルさんもそうゆう普通に女の子の部分あるんだなーと思った
まあ1人で行くのもなんだよな
と、思ってのいつも同行してる僕なのだと思ったけど
どうしても意識してしまう
そうじゃない
僕と行こうと始めから思った
夏祭りも、今も
何も考えてなかった頃は、
先輩の弟誘って遊びにいった
くらいのもんだと思ってた
だけど、今はもしそうじゃなかったら
どっちもデートってやつじゃないか
その差は大きすぎる
かと言ってもちろんハルさんに変に聞くことも出来ないし
だから、余り表に出さずに普通に過ごしている
周囲の学校の連中や、道場関連の人は完全にカップル扱いしてきてるけど
ハルさんはそれにノーコメだし
僕も合わせてノーコメ
兄貴の繋がりがあって良くしてもらってるの
一点張りにしてある
周りはそれを聞いても、全く聞いてくれないけど
学校では、年上の彼女が度々迎えに来てデートをしてる認識で、おまけにその相手は地元じゃ超有名人のハルさん
武力も、男嫌いも
相まって、120パーセントの確信を持っている周囲
ハルさんも、僕の中学出身だから先生も知ってる
在学中100を超える断りと武力行使をした少女が、男の子と接する
それは先生にも感慨深い?ものがあるようで、サボりのお迎えもお咎めなし
本当に凄いなハルさん
「冬馬と違って素行もそこまで悪くないし、目黒がやっと接するようになった男子。雪、中学生に言うことじゃないかもしれないが、しっかりきめるとこはきめろよ」
担任の先生は熱苦しく言った
兄貴が酷すぎて、髪やサボりが素行不良に入らない錯覚、、在学中の兄貴にハルさん、先生大変だったんだな
イルミネーションは凄かった
都内ならまだしも、茨城の僻地にこんなに豪華につくるとは
ハルさんはとても嬉しそうで良かった
イルミネーションには驚きはあったが
嬉しい、とまでは男の子だしあまり思わなかったが
、楽しそうに見てるハルさんを見てて僕もなんだか嬉しくなった
寒空の下煌めくイルミネーション
人混みの中
繋いだ手が暖かった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます