第18話足立さんと夏休み-2-
残る煙は緩やかに換気扇へと吸い込まれ行った
「足立さんさ、皐月さんにクラブや眠剤のこと話してる?」
一瞬、足立さんの表情が固まった
ぎこちなく不自然に目を逸らしてしまった
たっぷりと10秒あまりの沈黙の後に
「話してない」
ぽつりと零した
言ったはいいものの、一気に気まずくなってしまったこの空気に、平然と二の矢を放てる程に僕のメンタルは強くない
辛うじてそっかと、素っ気なくないように発音するのがやっとだった
口の中の甘さと気まずさに耐えかね冷蔵庫をあけた
ナイスタイミングで飲み物を切らしてしまっている
「桜さん、飲み物切らしちゃったからちょっとコンビニ行ってくるね」
「あたしも行く」
拗ねたような口調で足立さんは目を逸らしながら言った
「夜道だし、すぐ戻るから大丈夫だよ。ほら、桜さん浴衣のまんまだし着替えなきゃ」
タバコとライターをポケットにしまい、そそくさと僕は家を出ようとする
いちご飴持ったまま、、ってどしよこれ
ずっと手が伸び僕の手に持たれたいちご飴を奪い取ると、自分の口に含ませ頬を膨らませた
ちょっ、え、ちょ、、、
相変わらずそっぽを向いてるけどなんだか顔が赤い
ダメだ。ここは戦術的撤退だ
急ぎ足で家を出てコンビニへと向かった
煙草に火をつけて、家を出てからは夜道をのんびりと歩いた
いや、拗ねられても。。。
そりゃもしかしたらお節介かもしれないし、触れられたくないところかもしれないけれど、僕だって皐月さんに隠してる、騙してるような罪悪感があるから、これは触れていい話なはすだ。。。
僕とで、正直暗黙の了解でこのままにしておきたいのは山々だけどタイミングと勇気のコラボで切り出したんだ
ちょっとだけでも話さなきゃ
紫煙が燻る夜道、弱気な心に微弱な決意たるものを誓った
ミネラルウォーターとアイスティーと桜さんのミルクティーを買って家へと戻る
着替えは済ませたようで、パジャマ姿となり、未だにいちご飴の棒を口にし、部屋の隅で拗ねてる桜さん
さて、どうしたものか。
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