第8話 伝説と属性竜

今日は属性竜と大規模パーティーとの闘いがあるというので見物に来た。

他のパーティーメンバー3人も来ている。というか見物人でごった返している。

世間話をパーティーメンバーと程々に闘いが始まった。


大盾使いが体長10m程ある竜の尻尾の薙ぎ払いを1人で受け止める。

どう見ても異常だ。最初から。

《次元共有か》

「多分そうだと思う」

次元共有とは、他次元のパラレルワールドの自分と筋力、視力、魔力、思考といったものを

共有することができると言われている。

例えば、筋力が共有できたなら、110kgの重りを持ち上げることができたとしたら、

単純計算で他次元の自分の力を借りて、2人で50%の力で110kgの重りを持ち上げることが出来る。

3人で共有したなら33%。その分思考共有のLvも要求されるが。

これから分かる通り、まず思考共有で他次元の゛思考を意思統一して、

1人が重りを持ち上げ、他次元の自分は休んでおく必要がある。

「慣れ」だと出来る人は語っているらしいが、普通の一般人ではおよそ処理出来ないだろう。

『魔力、筋力、視覚と思考の最低4つは共有してると思います』

《存在がチートだな》

〈チート of the チートですね〉

上手いこと言おうとするハールをオレは聞き流しながら、

闘いを食い入るように見つめる。

「中央で発動してる5人位で操る広範囲魔法は1%生命力を削る魔法で、単純に

この魔法を竜に100回喰らわせるってことね」

《単純なだけに気が長くなるな》

『こんなに人が多いと大混乱ですね』

「そうね」

《あ、屋根みたいなもので飛べなくしたな》

「あれは、結界の応用ね」

《なんかもう別次元だな》

「でも属性竜も次元属性の攻撃で削ってるみたい」

《何それ?》

「相手の別次元の魔力とかを共有してる存在にダメージを与えて、

 相手の他の次元の存在から、倒そうとしてるのよ」

《神の領域だな》《どっちも》

『おそらく本人からしたら、鍛えてたら出来るようになったというだけで、

 何の気なしにやってるんだと思う』

「ほんとにね、、、」

目の前で神話クラスの闘いが繰り広げられている。

魔力共有で無尽蔵に魔法を連発し、筋力共有で、属性竜の巨大を受け止め、

視覚共有と思考共有でそれらをリンクさせていく。

多分、他の次元ではフルのパーティーメンバーが集まって回復魔法をかけ合ったりしてるんだろう。

脳が焼き切れるんじゃないか、

それとも集中力が分散し過ぎてまともな思考が出来ないんじゃないかと思うが、

目の前で闘っている伝説クラス達にそんな様子はない。

〈文字通り次元が違いますね〉

《そうだな、次元が違うな》

『そうですね、文字通り』

勿論使っている装備も伝説クラスだと思う。

多分そうだと思う。


眩い光が何百回、何千回発光しただろうか、

属性竜が一際大きな光を発した。

「高次殲滅魔法」

「策は無くて、ただ耐えれる体力があるかどうか、、、」

オレは光を見つめながら成り行きを見守る。

属性竜が発した光は10秒近く経っても光を失わない。

1人また1人と伝説クラスのものが目の前で気絶していく。20秒程経ったろうか、

残って立っているものは、三分の一程。それもただ立っていると言った様相。

神々しい神話の中の光景。

パーティーのリーダーとおぼしきマスターがギブアップの意思を示し、

属性竜がスーゥっと消えていく。

《駄目か》

「ええ」

まさしく神話。

伝説クラスでも歯が立たない。

オレ達4人、ひいては見物人全てが、黙って考え事を、目の前で起きたことを

、回想していた。

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