6話
常識が解らんようになったのはピアノを習っていた頃の話だ。
ウチは師匠からはめっさ怒られてばっかで、泣きながら習ってた。
あそこに比べれば大概のモラハラ&パワハラは些事認定出来る。マジで。
で、そこで何年もピアノ習って、でも普通に下手で弾けない……って状態だった……。
そんなある日。
『ねぇ、ドって何処に在るの?』
音楽室のピアノの椅子に座ってそう訊いた同級生の言葉を聞いて凍り付いた。
(え?『ドッテドコニアルノ?』文節何処?『ドッテ』が何処に在る?ドッテ?
え?ドの音が何処に有るのか訊いてるの?)
思考時間、三秒。
後で詳細を聞いて『ド』の音が何処に在るか教えて……ウチは気付いた。
悟った。
(あっ、常識ってフワッとしてんのな。)
周りが音大生ばかりで、『ピアノの音を鳴らされれば音名を簡単に答えられる(ドレミで言える)のが常識。』・『余程の楽譜でもない限り、初見で弾けるなんて皆シレっと出来るのが当たり前。』・『『コンクール荒らし』って異名の割に然程巧く無いな…ガッカリ……。』ってのが常識だと思ってた。
汚染されてた。
あ~、常識って尺度次第で信用出来無いな。
『常識でしょ⁉』
それ、何処の常識だし?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます