彼女はロボットだ。

春雨小僧

あなたは孤独?

地下にある国、地下国。

そこには二千人程度の住民が暮らしていた。


2500年、地球はすっかり変わっていた。

人間が緑をすべて切り倒し、そこにビルや家なんかを建てたから。

地球温暖化が進んで、地上の水がすっからかんになったから。

野生動物などの密猟が相次いだから。

原因はいろいろあるけれど、何より暖かな緑の草原は砂漠と化していったのはかなり国民もどよめいた。

そんな時これを危機に感じた政府は、ホームレスや死刑囚などの人権のない者を

地下に閉じ込め、地上の人口を減らすことにした。


その地下世界の一番奥深く、深い深い地下の底。

そこには一つの小さな研究所がある。ふと、その研究所に少年が訪ねた。

研究所に入るなり、聞こえてきたのは


キュイイイイン キュイイイイン

謎の機械音と、火花がこちらまで飛んできた。

少年が火花に当たらないよう、顔を背けていると、


「どうしたのかな」

「うわああああああああああああ!」

後ろからいきなり呼ばれ、心臓がバックンという。

心を落ち着かせ、少年はその人の方を向く。それからその女の人の顔を見る。

「きれい、、、」

その人の持つ顔は特別美しいわけではないけれど、ほかの人に比べると、芸能界でもやっていけるほどのきれいな作りだった。

その人は、その人の顔に見とれている少年を尻目に、また作業を再開する。

「あ、あの、僕の名前、あずさっていうんです。」

「そう、あずさ、、、」

その人はあずさの顔を見てほほ笑む。と、そのとたんに目をそらし、

顔を赤らめるあずさ。

その人の声は、女の人にとっては低い、けれどなぜかとても落ち着く声で、

なんというか、ハスキーな感じ。

「友達と、遊ばないのかい」

唐突に聞かれ、少しだけ慌てふためくあずさ。でも今度はすぐに答える。

「僕にはそういうの、いないから、、、それに、周りの子とあんまり話が合わなくて、、、。僕、地下に住んでいながらなんだけど、小学校、地上のに通ってて。」

話の最後らへんに連れて、だんだんとうつむきがちな声になるあずさ。

「そっか、君は一人なの?」その人は聞く。

うつむきがちな声は、とうとう悲しく落ちぶれた声に変化し、あずさの口から

はいずり出るように出てくる。

「僕はいつだって一人だよ、、、。友達もいなけりゃ、お父さんも、かまってくれなくて。」

その人はあずさのもとへゆっくり歩み寄り、あずさの顔を上げるよう手で促す。

あずさはその人の手のひらで頬を上げるよう促され、上を向く。

すると、出かかっていた涙が一滴ぽろりとこめかみを渡り、床に落ちる。

その瞬間に見たその人の目は吸い込まれそうなくらい澄んだ水色だった。

その瞳の奥深くを、、じっと見ているだけで、なぜか何かが満たされた気がしたし、

悲しい気持ちも消えていった。

「私の名前はね、、にこよ。」

「にこ?変わってるね」

「ん、まあ、ちょっとね」


その一言で会話は途切れた。


「あの、今日は、にこ、、さんにききたいことがあって」

なにかな?と首をかしげるにこにあずさは言う。


「あのね」











「にこさんって、孤独なの?」








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