第20話ホラーハウス工作

その、チーム・ブンガブンガのメンバー全員ぜんいんはホラーハウス計画けいかく準備じゅんびのため、それぞれのいえ帰宅きたくし、八時間後はちじかんご大島家おおしまけ集合しゅうごうした。

そしてメンバー全員ぜんいんは、大島おおしま桐島きりしまがそれぞれ運転うんてんする二台にだいくるまんで、清藤きよふじいえかった。

田中たなか日向ひなた彩芽あやめ三人さんにんもそれぞれくるまんでいる。

「なんかワクワクするね、ホラーハウスつくりにくって。」

準備じゅんび万端ばんたんだし、どんなのができるのかがたのしみだ。」

「そうえばこんなときになんだけど、どうやっていえなかはいるの?」

文道ぶんどうった。

「そんなのまどかなんかを破壊はかいして、侵入しんにゅうするにまっているだろ」

神島かしま、そんな物騒ぶっそうなことをする必要ひつようい。清藤きよふじいえかぎ入手にゅうしゅしてある」

運転うんてんしながら大島おおしまった。

本当ほんとうに!?どうやってれたの?」

今朝けさわたしいえまわりを散歩中さんぽちゅう不審ふしんひとあるいているのをたから、つかまえてめてみた。そいつは周防英人すおうひでとという探偵たんていで、わたし様子ようす監視かんししていたようだ。」

「じゃあ、そのひとかられたの?」

「ああ、これで。」

大島おおしまはおかねのジェスチャーをした。

「そいつ、清藤きよふじ仲間なかまだよね?」

「ああ、そうだ。ついでにしたはなしによると、今夜六時こんやろくじから清藤きよふじ宴会えんかい外出がいしゅつするそうだ。かえってくるのは午後十時ごごじゅうじだから、それまでに仕掛しかけを完成かんせいさせよう。」

そして二台にだいくるま清藤きよふじ自宅じたく到着とうちゃくした。

「うわあ、でけえいえだな。」

「さすがおかねちだな・・・。」

「さて、はやいとこはじめよう。」

大島おおしまかぎ使つかって玄関げんかんのドアをけた、全員ぜんいんなかへとはいっていく。

「じゃあぼく神島かしま斎藤さいとう一階いっかい仕掛しかけをつくろう、武田たけだ風間かざま文道ぶんどう二階にかいをよろしく。」

「わかった!」

こうしてチーム・ブンガブンガのメンバー全員ぜんいん大島おおしま田中たなか日向ひなた彩芽あやめは、二手ふたてわかかれて作業さぎょうはじめた。

「まずはこれをどこにかくそうか・・・。」

イーサンがっているのは、おそろしい形相ぎょうそう生首なまくび

去年きょねん夏祭なつまつりのイベントでお屋敷やしきをしたときに使つかったものだ。

イーサンはそれをクローゼットのなかかくした。

つぎはこれだ。」

イーサンはとびら細工さいくほどこした。

とびらけるとバケツがひっくりかえって中身なかみちるようになっていて、今回こんかいはバケツの中身なかみにスライムをれてみることにした。

「イーサン、こっちの用意よういわったよ。」

「ありがとう、それじゃあ本番前ほんばんまえにリハーサルしてて。」

斎藤さいとう清藤きよふじ空手からてをお見舞みまいするやくで、そのときくろずくめの格好かっこうをする。

くらなかでやるのでそれにまぎむためだ。

「おーい、プレゼントはここでいいか?」

「うん、それでいいよ。」

日向ひなたがプレゼントとかれたはこをテーブルのうえいた。

中にはにせふくダンボールでも使つかった、ヘビやクモなどのおもちゃが大量たいりょうはいっている。

「よし、つぎ通路つうろほうだ。」

イーサンは通路つうろびょうをばらまいた。

さらにびょうをばらまいたところのまえのほうを、ワックスでみがきだした。

ワックスですべらせて、びょうであしそうという作戦さくせんだ。

「よし。神島かしま、そっちはどう?」

「いいぜ、完璧かんぺきだ。」

「なんか高校生こうこうせい学園祭がくえんさい準備じゅんびおもすな・・・。」

日向ひなたがふとつぶいた。

「ねえ、そのときたのしかったの?」

「もちろんさ、ぼくのクラスでは教室きょうしつ迷路めいろにしてたんだけど、つくとき気持きもちちはいまでもわすれられないよ。」

「でもこれは本気ほんき清藤きよふじらしめるためのわなだから、ちゃんとかりないようにたのむぜ。」

「わかってるって。」

「ようし、まだまだ仕掛しかけていくぞ!」

イーサンたち四人よにんはちゃくちゃくと、一階いっかいわな仕掛しかけていった。













一方いっぽう二階にかいには武田たけだ風間かざま文道ぶんどう田中たなか彩芽あやめかった。

「じゃあこれから仕掛しかけをつくろう、設置せっちぼく風間かざまがやるから、あと三人さんにんはサポートをたのむ。」

了解りょうかい。」

武田たけだ風間かざま早速さっそく作業さぎょうりかかった。

二階にかい書斎しょさいにありとあらゆる仕掛しかけを手際てぎわよくほどしていく、あと三人さんにん武田たけだ風間かざまわれるがままに、道具どうぐ機材きざい手渡てわたしていく。

まったく・・・、小学生しょうがくせいのくせに人使ひとづかいがあらいぜ。」

田中たなかがぼやいた。

「でも作業さぎょうしているとこはまるでプロの技師ぎしみたい、大人おとな顔負かおまけだわ。」

「あの二人ふたり元々機械もともときかいきでさ、小学一年生しょうがくいちねんせいころなんか二人ふたり電化製品でんかせいひん解体かいたいをよくしていたんだ。」

文道ぶんどうった。

「まあそれで二人ふたりはよくおこられていたけど、それで二人ふたり仲良なかよくなってロボットまでつくるほどの腕前うでまえになったんだよ。」

っからの機械きかいオタクなんだな。」

「なんかなつかしいわね、わたしにもあんな友達ともだちがいたなあ。」

「え、それってどんな友達ともだち?」

わたし衣服いふくつくることがきで、おな趣味しゅみ同級生どうきゅうせいおんな中学生ちゅうがくせいころから一緒いっしょつくっていたんだけどね、いまはもう絶交状態ぜっこうじょうたいなのよ。」

「え!なにかあったの?」

高二こうにころだったかしら、一緒いっしょふくつくっていたときにその同級生どうきゅうせいがスカートのデザインを、わたし内緒ないしょえていたの。同級生どうきゅうせいは『どうかしら?』ってっていたけど、勝手かってにデザインをえたことにはらって、口論こうろんになってそのまま絶交ぜっこういまでもふくつくつづけているけど、そのとはもうわなくなっちゃった・・・。」

「そっかー、二人ふたりあいだでもそんなことはよくあったけど、二人ふたりいまでも友達ともだちさ。」

「いいわね、あのとき絶交ぜっこうしなければわたし同級生どうきゅうせい一緒いっしょに、あんなふうになれたのかな?」

「おい、おしゃべりしてないで機材きざいってきてくれ。」

風間かざま三人さんにんった。

「それってどんなの?」

田中たなかさんのくるまいてある、『A-102』とかれたダンボールにはいっているやつだ。」

「わかった、ってくる。」

三人さんにん二階にかいからりていえると、田中たなかくるまのトランクからわれたとおりのダンボールをって、二階にかいもどってきた。

ってきたよ。」

「ありがとう。」

「それにしてもおもいなこれ、一体いったい中身なかみなんだ?」

田中たなか武田たけだたずねた。

「それはVRの装置そうちだよ、本物ほんものさながらの妖怪ようかいやモンスターの映像えいぞうてくるんだ。」

「それってバーチャルリアリティーってやつじゃん!そんなものまで用意よういしていたなんて・・・。」

「これぐらいやらないと、イーサンのマジックとかたならべられないからな。」

「さあ、すすめていこう。」

武田たけだ風間かざまはそれからも作業さぎょうすすめていった。







そして午後九時四十分ごごくじよんじゅっぷんすべての作業さぎょうわった。

「みんなご苦労様くろうさまあと清藤きよふじかえりをつだけだ。」

「とびっきりのを仕掛しかけたから、いまからたのしみだぜ!!」

「そういえば、斎藤さいとうはどうしたの?」

「クローゼットにかくれている、清藤きよふじがきたら発信機はっしんき連絡れんらくするんだ。」

闇討やみうちか・・・、あいつおんなにしては度胸どきょうがあるな。」

「イーサン、清藤きよふじをビビらせたらおれたちにわたしてくれ。」

桐島きりしまがイーサンにった。

「わかってる、としまえつけるんでしょ?」

「それがんだら、おつとめしてくる・・・。」

桐島きりしまがぽつりとった。

「アニキ・・・自首じしゅするんですか?」

おれふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃ運営うんえいりん誘拐ゆうかいかかわっていた。やはりちゃんとケジメをつけてから、やりなおししたいんだ。」

「アニキ・・。」

桐島きりしまさん・・。」

田中たなか日向ひなた彩芽あやめさみ桐島きりしまを見つめた。

「みんな、そんなかおしないで清藤きよふじかえりをとうよ!そのために頑張がんばったんだから」

イーサンがうと全員ぜんいんうないた、清藤きよふじ帰宅きたくまでのこ十分じゅっぷんのことだった。

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