112.大幅レベルアップ!

「お、今日はソウルが大分たまったな」


 キャンプ地に戻り、ハウスに入ってから今日のソウル獲得量を確認する。

 毎日の獲得量を計算しているわけじゃないのだが……。


「おい、今日のソウル獲得量、200万以上あるぞ?」


「まあ、そうでしょうにゃぁ。あれだけ氷狼を虐殺していればそうなりますにゃ」


「そうなりますにゃって……このソウル、どうしろと?」


「レベルアップに使っては? アグニにはまだまだ届かないでしょうにゃ」


「それもそうだな。それにレベルが上がれば、新しいステータスアップスキルも覚えられるかも……」


「ふっふーん、やったわよ、フート!」


「やりました。フートさん!」


「いっったいどうしたんだ?」


 やたらとテンションが高いふたり。

 一体どうしたのか。


「私たち、レベル100になったのよ!」


「いろいろスキルを覚えていたのでなかなかうまくいかなかったのですが、ついに100の大台に乗りましたよ!」


「で、フートのレベルは現在レベルはどうなのよ~」


 よっぽど嬉しいのか、アヤネがちょいとウザい。


「いまはレベル90だな」


「……元々高かったのね」


「なんだかちょっとずるいです」


「にゃはは。テラとゼファーが直接倒した魔物は、全部フート殿のソウルになりますからにゃ」


「む~」


「……まあ、俺も限界までレベルを上げてみるか」


「とりあえず、レベル100で止めてみるにゃ。新しいスキルが出てくるか確認するにゃ」


「了解。上げてみるよ」


 レベルを90から100まで上げてみる。

 身体能力はかなり上がった気がする。


「……レベルは上がったのかにゃ?」


「上がったぞ?」


「スキルは増えたかにゃ?」


「増えてないな」


「……実験終了にゃ。まだ経験値は残っているのかにゃ?」


「まだ170万くらい残ってるな」


「……その差はなんなのにゃ……」


「俺が魔法で全部倒してるのが多いのかな? 一応、等率分配のはずなんだが……」


「アヤネ殿たちはレベル上げる前は何レベルだったのかにゃ?」


「ええと……85だったと思います」


「ああ、それなら納得にゃ。ソウルはレベル10上がるごとにそれまでの蓄積ソウルの2倍は必要になるにゃ。実際、ソウルはまだ少しは残ってるにゃろ」


「まあ、スキルが無いかどうか調べるために残してましたが……」


「……このレベル5の差はでっかいわね」


「とりあえず残りの5も上げてしまうぞ?」


「そうするといいにゃ」


 残りソウルの大半を使いレベルを上げる。

 次に新しいスキルが出てくるのは120か150か……。

 それとも、これ以上は基礎ステータス上昇スキルは出てこないのか。


「よし、レベルアップ完了だ」


「おめでとうだにゃー。これで全員、レベル60クラスのモンスターなら相性次第でソロ討伐可能にゃ」


「相性次第?」


「例えばアヤネ殿やミキ殿の相手が、空を飛び続けるモンスターだったらきついにゃろ? そういうことにゃ」


「なるほどねぇ。確かにかなわないわ。フートだったら魔法でドーンだけど」


「フート殿も魔法が効きにくい相手だときついにゃろ」


「確かにな」


「でも、これでもう少し格上のモンスターも狙えるんじゃないかしら?」


「確かにゃぁ。このあたりに生息していて事前報告なしで狩っていいモンスターは……氷狼の変異体ともまったく別のモンスターとも呼ばれる、【氷牙の狐王】エイスファンにゃ。レベルは……120だったかにゃ?」


「ふーん、いいハント相手じゃない?」


「レベル的には問題なしですにゃ。ただ、ちょっと条件が悪いですにゃ。できれば、フート殿をレベル110、アヤネ殿とミキ殿はレベル105まで上げてほしいにゃ」


「条件が悪いってどういうことよ?」


「エイスファンの周囲には常に吹雪が吹いていますにゃ。それによって体力と素早さが削られていくんですにゃ! ……まあ、他にも問題はあるんですがにゃ」


「……それはきつそうね。フート、なにかいい魔法はないの?」


「火魔法にヒートバリアっていうのがあるが……吹雪による視界不良まではどうにもできないな」


「……今日と同じように氷狼狩りね」


「氷狼なんですが、今日の大狩猟でかなり数が減ってますにゃ。それなので、明日はキャンプの場所を移して次の獲物を狙いますにゃ」


「ああ、やっぱり魔物も減るんだな」


「あれくらいの大狩猟でもしなければ大丈夫ですがにゃ。それに2週間もすれば元に戻りますにゃ」


「じゃあ、また2週間後には大狩猟ね!」


「……群れが散ってますので効率が悪すぎて大狩猟になりませんにゃ」


「じゃあ、次の獲物で稼ぐしかない訳ね。どんな魔物なの?」


「主に炎熱系の魔物がいる場所に移動しますにゃ。そこには金銭的においしい魔物もいますにゃよ?」


「……この期に及んで金銭か?」


「ですよにゃぁ」


「どちらにしても明日は移動か」


「移動ですにゃ。日暮れ前には移動が終わりますが、念のためその日は休養日ですにゃ」


「了解。それじゃあ、夕飯にして休むか」


「今日は氷狼のステーキですよ!」


 一日でステーキを作り上げるミキの執念と腕前には全員脱帽だ。

 醤油ベースのソースがよくあっていてとても満足だった。

 後はお風呂に入って寝るだけである。

 明日もがんばっていこうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る