72.第一回学校開校会議開幕
ふっふっふ
地の文0の回を作ってしまったぜ
一応発言者の名前を出しておくよ
赤の=フート
儂=鍛冶の=マテウス
私=商業の=エドアルド
私=冒険者の=マルガ
ハンターの=ブルクハルト
(特に呼び名なし)ユーリウス
さすがにレベルが高すぎると思ったので頭に誰の発言かくっつけたいと思います
**********
冒険者「赤の……それは無謀ってもんじゃないかい?」
鍛冶「儂も賛成できんな。あそこの子供たちは、さすがに無学すぎる」
商業「それ以上に食うに困っているのが現状です。どうやって学ぶところまでもっていけばいいんでしょうか……」
ユーリウス「……そこまで言うんですから腹案はお持ちですよね、フートさん?」
フート「もちろん。学校はまず学費無料の全寮制にしてしまえばいい」
鍛冶「全寮制。……貴族様の学校みたいにしろってか?」
フート「そこまでこだわる必要はないよ。男女別の建物にして……そうだな、一部屋4人ぐらいで共用してもらうってのはどうだろう」
商業「……ふむ、それならば十分に受け入れ可能ですね。男女50部屋ずつ作って男女別で200人ずつ、合計400人。さすがにそこまで受け入れることはありませんでしょうが、子供たちにとって安全な寝床はさぞ興味をそそられるでしょうな」
フート「そして、学校内での食事を提供する。これは『給食』と言って、決まったメニューしかないが、その代わり子供たちには無償で提供する物とする」
鍛冶「ほ! 食事まで無料か!! これは驚いた!! その話を信じることができれば、スラムの子供たちは喜んで飛びついてくるだろうよ」
フート「そうなんだよなぁ。まずは最初にどうやって子供たちを集めるかなんだよなぁ」
商業「さすがに条件が良すぎて人さらいの類いと思われそうですからね」
冒険者「だねぇ。さすがにそこはどうにもできないねぇ」
フート「最初に子供たちを受け入れて、その子供たちが立派に巣立っていけば流れは変わると思うんだが……」
ハンター「……ふむ、こんなときこそお偉いさんに動いてもらおうじゃねぇか」
冒険者「どうしたんだい、ハンターの。いままで黙ってたのにいきなり」
ハンター「簡単なことよ。今回の事業はお貴族様のお墨付きってことにしちまうのよ」
冒険者「お貴族様って……ここは那由他の王都、邦奈良の都だよ。一体誰の許可を得るつもりなのさ?」
ハンター「決まってるだろう。王様よ」
商業「……いえ、さすがに王家が絡んでは話が大きくなりすぎます」
ハンター「そうかぁ?」
商業「失敗したときのリスクも考えましょう。……正直、失敗する可能性というのは資金不足くらいしか思いつかないのですが」
フート「人手不足は? 寮長とか給食を作ってくれる料理人さんとか結構必要なんじゃ……」
商業「寮長はきちんとした人を選ぶ必要がありますが、給食……でしたか、それを作る料理人でしたら困ることはありませんよ、フートさん」
フート「そうなのか?」
商業「ええ、料理ギルドで見習いを雇えばいいのです。見習いにとっては貴重な実習の場、しかも給金もしっかり出る。これ以上のことはないでしょう」
フート「あとは服かな。スラム出身者なんて良くも悪くもボロしか持ってないだろうし、オーダーメイドじゃない既製服でいいから数がほしいな。あとは、身長が伸びやすい年齢だからサイズも」
ハンター「そこも簡単だろうよ。裁縫ギルドの見習いどもに発注すればいい。やつらにとっちゃいい経験で給金も入る、俺たちにすればたくさんの服を安く仕入れられる。おいしいことばかりじゃねぇか」
フート「……こういうことを聞くのも変だけど、見習いってそんなに環境が悪いのか?」
鍛冶「場合によりけりだな。いい環境に恵まれた見習いはどんどん上達できるが、裁縫店や料理店に雇われなかった見習たちは日雇いの仕事で糊口を凌ぐって話だぜ」
冒険者「まあ、冒険者ギルドの見習いと一緒だね。命のかけ方が違うだけでさ」
商業「そういう意味でも、この事業は非常に大きな意味合いを持つと思うのですよ。場合よっては、その見習いの子たちを呼んで実習の先生をしてもらうという方法もありますからね」
冒険者「……商業のはずいぶんご執心だねぇ」
商業「ええ、ええ、当然ですとも。この事業、成功すればたくさんの儲け話が転がり込みます! それは商業ギルドだけでなく、すべてのギルドに分け隔てなくですよ! こんな胸が躍ることいままで感じたことはありません!」
フート「あー、心が躍っているところに水を差すようで悪いんだけど、昔はあったけど失敗したんだよな。今回も同じ轍をふまないという保証は?」
商業「徹底的に後見人をつけましょう。ええ、そこは心配しないでください。私どもでしっかり手配いたします故」
鍛冶「あー、ダメだこりゃ。こうなっちまったら商人のは帰ってこないぜ」
フート「じゃあ、最後に手付金、というか事業を始めるに当たっての資金だけど……ミスリル貨が10数枚あれば足りるかな?」
商業「な……ミスリル貨ですか?」
鍛冶「おいおい、冗談か、赤の。なんでお前さんがミスリル貨なんて持ってるんだよ」
冒険者「あー、あのオークションの出品主はアンタってことかい。だけどね、ミスリル貨は出し過ぎだよ。あたしらが金を出せなくなっちまう」
鍛冶「そうじゃの。せめて金貨50枚くらいにしておくれ。儂らのギルドからも相応の持ち出しをするから」
ハンター「そうだぜ、フート。さすがにミスリル貨は……」
商業「……いえ、ここはミスリル貨をお借りいたしましょう」
鍛冶「商業の?」
冒険者「本気かい?」
ハンター「笑い話じゃねえぞ?」
商業「貴族の皆様を味方につけるための見せ金です。もちろん、貴族の後ろ盾を引き出すためで、持参金として渡すわけではありませんが……」
冒険者「そうなると、味方につける貴族も選ばなきゃ、だねえ」
ハンター「貴族なんて名前だけ貸してくれりゃいいんだよ!」
商業「もちろん、そうさせていただきますよ。ただ、我々は今回の事業にこれだけの予算と本気度を持っている、ということを示すためです」
ハンター「……わかった。ミスリル貨の引き渡しはいつ、どこで?」
商業「警備が厳重でなければいけませんね。後日ハンターギルドでお願いできますか? 帰りの護衛依頼も含めて」
ハンター「承知した。……面白いことになってきやがったぜ」
鍛冶「まったくじゃ!! 懸案だったスラムの子供たちを救えるだけでなく、その労働力を生かせるんだからのう!」
冒険者「あとはスラムの大人どもだけど……こっちは私とハンターので勧めていいかい?」
フート「俺は絡まなくていいのか?」
ハンター「むしろ絡んでほしくねぇな。いろいろ汚い面もあるからよ」
冒険者「そうだね。定期的な炊き出し程度はお願いするかもね」
フート「わかった。時期とか規模を教えてくれれば開催させてもらうよ」
ハンター「それじゃ、第一回会議は解散だな。資料は……」
ユーリウス「私、ユーリウスがまとめてあります」
商業「エドアルドもまとめていますよ。こんな壮大な話に参加できる幸運、二度とないでしょう!」
ハンター「じゃあ、心配ねぇな。これで解散だ!」
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