第234話 仕事領域と密度
自分のやることを終わらせたけど、先生はまだ来ないし、まだ開園時間でもなくて、手持ち無沙汰になる。
余計なことに手を出すのも返って良くないと思って、座って待機することにした。
咲良はあちこちの鍵を開けにいっててまだ戻らない。
『やることが終わった者は、先生が来るまでしなければならないことはない。しかし、本来ならその時間には給料が払われている。まだ終わっていない人を手伝ったり、次の仕事を確認しよう。すぐ動けるように準備しておこう』
その声からちょっとして、小林くんの声がした。こんなの初めてだ。
「言われてないことまでやる必要ねーだろ」
確かに給料もらうってことになればそうかもしれない。でも、言われてないことまでやる意味ってあるのかな。
そういう指示していないってことは、時間内に適量を配分しても余ったってことで、それは向こうが配分を間違えたか、こっちが優秀だったからじゃないのかな。
『小林くんの言うことは正しい。確かに、職場の指示はその性質に差がある。
言われた当人だけにやって欲しいこともあるだろう。
訂正する。
仕事に余裕がある場合は、その後の仕事を把握しよう。それでも時間があるようなら、職場全体を把握してみよう。手伝うかどうかは自分と相手、職場の判断でやろう』
うさ衛門先生が訂正した!
やっべえ、先生でも間違うの?
それとも、これも込みなんだろうか。
『これはよくあることだ。優秀な人は、同じ仕事を割り振られても、他の人より早く終わり、空いた時間に別の仕事を振られがちなんだ。
極端に言えば、のんびり仕事して言われた時間ぴったりに終える人と、もらった仕事を可能な限り素早く処理する人とでは、かけた労力に大きな開きがある。
優秀な人にはどんどん依頼が舞い込み、荷重労働になってしまう。
新人のうちは断りにくいこともあり、心を病むこともある。
何より給料に差がないことが多く、不公平感を生む。
職場で調整しなくてはならないので、そう思ったらすぐ誰かに相談しよう』
あ、これ最初から言うつもりだったパターンだ。たぶん。
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