第162話 ド────ン!!!!!!

「わたしの時はまだこういうのなくてね、子ども達が大きくなってきた辺りかしら」


 おれ達の上の上の世代だと、まだそんなもんだったのかな。


「お子さんは何人いはるんですか?」

「3人」


 ハジメの質問に、うふって感じに笑う。


「ハルちゃんのお母さんと下に弟が2人ね。ほら、玄以様ったら御刀一筋でしょう?だから家を継ぎたくなくて。儂が寺を継ぐから後は宜しくなんて。一人っ子なのに申し訳なかったから、たくさん産もうって。でも3人が限界だったの」

「ハノさんがひいばあの娘じゃなかったんですか!」

「違うわよ、うふふ」


 尋常じゃない若さだし可愛い系だし、そういう血筋だとばっかり思ってた!

 えええ! ぜんっぜんつながらない。

 遺伝子もう少し仕事して?!


「似てない……師範だけ武士」

「あら、そうでもないのよ? ハルちゃんのお母さんも武士。御刀好きでね」

「あっ、娘さんには受け入れられたんや」

「そう。ハルちゃんが嫌がってやらなくなったら、他の孫まで右ならえしちゃってね」


 たんたんたん


「七変化綺麗だね」


 陽太と小猫が階段を降りてきた。


「七変化?」

「窓に飾ってあるお花よ」

「あー、あれか」


 小さい花が集まってる感じの、黄色っぽい花だった……気がする。


「色が変化していくのよ、面白いでしょ」

「ほんと? 見てみよ」

「すぐには変わらんぞよ」

「ハノさんの花畑、今度見せてもらうといいよ」

「花畑?」


 おれ、メルヘンチックな趣味はお持ちではありませんが……


「凄いんだよ。有名な撮影スポットなの。たぶん滝夜も見たことあるよ」

「夜桜とか霧の花畑とかが有名じゃな」

「へえ~」

「俺見たい! いつ見れるん?」

「いつでもいいけど、今からは無理ねえ」


 その時だった。


『ハジメ、コンセントは挿さってる?』


 クレアだ。

 どうやって命令口調に設定したんだろ。動画でも言ってないし。


「挿さってへん」

『雷に注意して』


 ド────ン!!!!!!

 落ちた!!!

 雷落ちた!!!

 頭割れる凄い音!!!


「わあっ!」


 おれとハジメと小猫は反射的に身を竦め、そろそろと顔を見合わせた。


「すっげーカミナリ!」

「いきなりドーン! だったね」


 ド────ン!!! ガラガラガラ!!!


「わわっ!!」

「よしよし」


 ハルたんは小猫を抱っこして撫でている。なんだよ和むな。


「凄い音ですね! いつもこんなですか?」

「たまによ。今日は特別激しいわね」


 カンカンカカカ……

 ザ────!!!


 屋根を叩く硬質な音がしたと思ったら、一気に降ってきた!!


「わあ、痛そう」

「痛い?」

「あんだけ雨量があったら痛いと思うよ」

「うそ、ちょっと当たってみたい」

「やめといた方が良いと思うな」

「やりたくない?」

「ほないこか」

「あらあら」


 おれ達はバカなのである。

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