2-5
この家は、小さい時に、よく遊びに来ていた。
懐かしい。
この庭も、裏の林も、よく遊んだ場所だ。
変わってね~な~!
ばあちゃんが元気で本当に良かった。
母は、プロのバイオリニストだ。
今は、アメリカとフランスを行ったり来たりしていると言う。
ちょうど今 遅めのサマーバケーションで、実家でのんびりしているところだそうだ。
本当は、母に会えるとは思っていなかった。
こっちに来て、母さんの演奏を客として聴きに行けたらいいなって思っていたくらいだった。
母に、バイオリンを教えてもらえるなんて、なんか嬉しい。
「桂吾、早速だけど、あなた音の出し方とか覚えてるの?ちょっとやってみて!」
と言われた。
ケースから、バイオリンを出すと、チラっと見て、メンテナンスしてるのねと言った。
俺は、レッスンプロに誉められた曲を弾いてみた。
弾き終わると、拍手しながら、
「桂吾!あなたマジメに練習してたのね!」
と言った。
「あぁ。レッスンはしてもらってるよ!」
「びっくりしたわ!あなたがこんなに上手くなってるなんて!」
母さんにバイオリンで誉められたの初めてじゃね?って、ちょっと喜んでたら、
「一般人がこれだけ弾けたら、すごい!って言われるだろうけど、他人だったら、誉めとくけど、プロとして人前で聴かせられるレベルじゃないわよ!じゃ、厳しく教えるけど、いいかしら?」
と笑った。
マジか!さすが母さん、これじゃまだまだかよ!母さんの厳しくは、マジで厳しいからな~!
でも、今の俺は厳しくされんの、結構キライじゃね~ぜ!
「あぁ。ビシバシやってくれよ!母さん」
それから、2ヵ月。みっちりと母のレッスンを受けた。
本当に、厳しいレッスンだった。
指が切れて、血を流しながらレッスンした。
「桂吾!私、来週から仕事で1ヵ月アメリカへ行ってくるわ。その間、私の知人にレッスン頼んだから、ちゃんとやりなさいよ!」
「OK!その人、若い美人だろうな?」
「NO!!私の先輩よ!」
「なんだよ~!ババアかよ~」
「桂吾!失礼のないようにね!」
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