第22話『大国主について、最初から脱線(^_^;)』   


誤訳怪訳日本の神話・22

『大国主について、最初から脱線(^_^;)』   






 古事記によると六代目の子孫。日本書紀正伝によると二代目の息子。




 とにかくオオクニヌシはスサノオの血筋であります。


 そのオオクニヌシが、同じスサノオの娘であるスセリヒメ(須勢理毘売命)と結婚します。


 この結婚にはエピソードがありすぎるので、わたしの趣味で絞ります。




 まず、二人の関係……血縁です! 日本書紀正伝では腹違いの兄妹でさえあります!


 高天原の国津罪でも書きましたが近親相姦はご法度です。いまの民法でも当然認められません。


 ところが、古代では緩かったんですなあ。腹違いの兄妹は結婚できます。伯父・叔父と姪の結婚もOKでした。


 現代の感覚では「えええええ! そんなああああ!?」になります。


 友だちが「わたし結婚したの!」と言ってきたら、「え! 相手は誰なの!?」と聞きます。


「腹違いのお兄ちゃん!」とか「叔父さんと!」とか嬉しそうに答えたら「……なにそれ……」とドン引きになります。


 こういう近親結婚が古代では結構ありました。たしかクレオパトラも弟と結婚しています。中世ヨーロッパでも、領地や権力維持のため兄妹や近親での結婚が多くありました。


 狭い日本にいると、いとこ同士とか又いとこ同士の結婚というのはヘッチャラですが、外国、とくに中国や朝鮮半島では「……なにそれ……」になります。


 朝鮮半島では、いとこどころか、本貫(出身地)が同じ同姓の結婚も長らく認められませんでした。


 男女が仲良くなり結婚を意識し始めると、同姓の場合、互いの本貫を確認しました。


 オレ慶州の金だけど君は? よかった! わたし金海の金よ! で、結婚できました。わたしの知識は古いので、いまは、そこまでうるさくは言わないのかもしれませんが、とにかくいとこ同士などはあり得ません。


 わたしのクラスメートの友だちにアラブの王族から求婚された女の子がいました。


 とてもいい男だったので国際結婚を決意しますが第二夫人としてだったので周囲から反対されました。めでたく結婚したらしいのですが、当時は第二夫人ということばかりが話題になって、結末と経緯についてはよく覚えていません。


 インドで、こんなことがありました。


 結婚して間がない夫が亡くなりました。親族一同が集まって葬式になります。ここまでは日本と同じです。


 インドは、いまでも火葬の所が多くあります。日本のように火葬場で焼くのではなく、多くは河原で木材を積んで、その上に布でくるんだ遺体を載せて火を付けます。いわゆる荼毘にふすという奴で、戦後すぐくらいまでは日本でもやっていました。


 ここからが違います。


 燃え盛る炎の中に未亡人の若妻を、みんなで寄ってたかって担ぎ上げて火の中に放り込みます。熱さのあまり飛び出してくる若妻をさらに火の中に押し戻します。這い出てきたところを、さらに押し戻し、ついには夫の遺骸と共に焼き殺します。


 これは、妻が夫を亡くした悲しみのあまり自分も火の中に飛び込んだという美談にするためです。昔から、よくできた嫁はいっしょに死ぬもんだという文化があったことからの悲劇です。むろん、今は法律で禁止されていますが、禁止しているということは……今でも……と思ってしまいます。


 女の子が男と関係を持ってしまった場合の話です。


 女の子が十八歳未満ですと男は逮捕されます。ときどきやらかして新聞やテレビをにぎわしていますね。男はマスコミに書き立てられ、仕事も首になります。最近、教師がいたしてしまって首になり、新聞やらネットニュースやらをにぎわしております。


 女の子が十八歳以上ですと、合意の上であれば罪にはなりません。


 現場に居たころ、三年生の担任をやっていて「娘が男といっしょに……」という相談を何度か受けました。時に警察にも相談に行きましたが、十八歳を過ぎていると「本人が自分の意思でやってる限りねえ……」と手が出せませんでした。


 インドやアラブでは親が娘を掴まえて殺してしまうことが正義でした。むしろ殺さない親が社会的に非難されました。


「不貞の娘を成敗したぞ!」


 父親が、殺した娘の生首を掲げて町中に触れ回ってもお咎めなし。街の年寄りたちは「よくやった!」と誉めそやします。


 アラブの王女様が男と駆け落ちして捕まりました。連れ戻され、男は首を切り落とされ、王女様はピストルで頭を撃ち抜かれました。


 脱線してしまいましたが、ことほど左様に文化が違うと受け入れがたいほどに対応ややり方が違うのです。


 歴史的に昔を見る場合、そういう違いを踏まえて観てやらないと誤ってしまうことがあります。


 現代的に言うと、それほど異文化の理解が難しいということになりましょうか。


 次回は、大国主と因幡の白兎について触れてみたいと思います。


 


 

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