性格なんてない(かもしれない)
あの人は短気だ、あの人はおっとりした人だ、あの人はいつも悲しそうな顔をしている。我々は平気でそんなことを言うが、そもそも、個人を正確に言い表すことなんて出来るのだろうか。怒りっぽい彼は、家では子煩悩かもしれない。おっとりしたように見えるのは演技かもしれないし、悲しそうな顔は、目にしたとき偶々いつもそうだっただけかもしれない。誰からも後ろ指を指されていた人物が、年を取って好々爺になることもあれば、結婚や就職で、顔つきからガラリと変わることも珍しくない。この人は生涯通してこうだ、と言えるような性格なんて、なかなか無いのかもしれない。
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