第41話
ある朝、朝葉が食事を終えのんびりしているとセリスが駆け込んで来た。
「朝葉、大変だよ!! 朝葉の畑が巨大猿に襲われてる!!」
「え!? セリスさん、本当!? 行かなきゃ!!」
畑に駆けつけると、大人よりも巨大な猿が、畑に出来たトウモロコシを囓っていた。
「ちょっと! 人の畑に何するの!?」
朝葉はそう言って剣を構えると、巨大猿に斬り掛かった。
「キキーッ!!」
巨大猿は素早くそれを避けると、朝葉を引っ掻いた。
「朝葉、大丈夫!?」
「うん、セリスさん」
朝葉はもう一度、巨大猿に剣を向けた。
「今度は倒す! 急所鑑定!」
巨大猿の喉元が光った。
「喉が急所ね。私に任せて!」
セリスが銛を投げた。銛は巨大猿の喉元をかすった。
「キキーッ!?」
巨大猿は逃げていった。
「畑、メチャクチャにされちゃったね」
セリスの言葉に、朝葉は辺りを見渡した。トマトもオクラも、キュウリも囓られている。
「うん……でも大丈夫そう。ちょっと手入れしてあげれば、また使えるよ」
朝葉は傷のついていない、無事だった野菜を収穫してバンガローに戻った。
「今日は夏野菜のカレーを作るよ。夕方頃にまた来てね。トワロにも声をかけておいてくれると嬉しいな」
「分かった」
セリスがバンガローを後にすると、朝葉はタマネギを刻んで炒め始めた。
飴色のタマネギ炒めが出来ると、今度は水牛の肉を冷蔵庫から取り出し、焼き目をつけた後、大きな鍋で香辛料とタマネギと一緒にコトコト煮込み始めた。
朝葉は灰汁をとりながら、カレーを夕方まで煮込むと畑から取ってきた野菜を素揚げにした。
「こんばんは、朝葉」
「こんばんは、朝葉様」
「待ってたよ、トワロ、セリスさん」
朝葉は、三人それぞれのお皿にカレーをとりわけ、色よく揚がった夏野菜をトッピングしてテーブルに並べる。そして、わきにパンを添えた。
「夏野菜カレーだよ」
「よかった、猿も倒して調理すると言い始めるかと思ったよ」
「お猿さんは食べられないよ」
朝葉の言葉に、トワロはホッと胸をなで下ろした。
「冷める前に食べよう!」
「いただきます」
三人はカレーを食べ始めた。
「うん、なすから油がジュワって出てきて、カレーもコクがある」
「トマトが良い味」
三人はカレーをおかわりした。
「美味しかった。ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「それじゃ、また来てね」
「はい、朝葉様」
「うん、朝葉」
トワロとセリスはそれぞれ家に帰っていった。
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