第26話
「おはようございます、朝葉様」
「おはよう、トワロ」
朝葉がドアを開けるとトワロが入ってきた。
今日も良い天気だ。
「今日は、冒険者の館から依頼があってやって来ました」
「どんな依頼?」
朝葉はトワロに尋ねた。
「砂漠のダンジョンの3階の奥に、タランチュラが沢山わいているそうです」
「それを駆除して欲しいとのことです」
トワロはそう言った。
「そっか、了解!」
「セリスさんは今日は来ないかな?」
「そうですね。セリスの家へ先に寄ったのですが、今日は漁に出ると言ってました」
「そっか」
朝葉はそれを聞いて、装備を身にまとい始めた。
「あの、朝葉様。タランチュラも食べる気ですか?」
「うん! 唐揚げにしようと思ってる!」
「はあ」
トワロはため息をついた。
二人はバンガローを出て、砂漠のダンジョンに着いた。
ダンジョンの3階は、以前亀を倒した所だ。
「2回目の場所ですが、気をつけて下さい」
「うん、分かってるよトワロ」
ダンジョンの奥には、ウゾウゾとタランチュラの大群がうごめいていた。
「うわ、多いね」
「そうですね」
二人は、タランチュラを一匹ずつ倒しては袋に入れた。
百匹はいただろうか。
二人は地道な作業を終え、帰路についた。
バンガローに着くと、朝葉はタランチュラの下処理をして、たっぷりの油でこんがりと揚げた。
香ばしい良い匂いが部屋に広がる。
「おっす! 良い匂いだな!」
「あ、セリスさん、こんにちは」
「今日は大漁だったから、朝葉にもお裾分けだよ」
そう言って、セリスは沢山魚の入った袋を朝葉に渡した。
「今日は、何を調理したんだい?」
セリスの問いかけに朝葉は答えた。
「タランチュラだよ!」
「……そっか!」
朝葉はいつも通り三人分のタランチュラの唐揚げをテーブルにのせた。
そして、塩胡椒、レモンを振りかけた。
「さあ、食べよう!」
「いただきます!」
朝葉が一口で、タランチュラを食べるのをトワロとセリスは見ていた。
「美味しいよ! サクサクで、卵がプチプチしてる!」
「それじゃ、私たちも」
トワロとセリスもおっかなびっくり、タランチュラの唐揚げを頬張った。
「美味しい!」
「でしょ!?」
三人は、パクパクと唐揚げを食べた。
食べ終わると、冒険者の館に残りの唐揚げを持って、討伐の報告に行った。
「こんにちは」
「はいよ、朝葉」
「タランチュラ、倒してきたよ!」
「お疲れ様。相変わらず早いな」
ロイはそう言って報奨金を渡した後、朝葉の持っている料理を見て尋ねた。
「それは、なんだい?」
「タランチュラの唐揚げです」
「ほう、なかなかキてるな」
「買って頂けますか?」
朝葉はロイに尋ねた。
「まあ、色物だから全部で1000ギルだな」
「いいですよ、それで」
そう言って、朝葉はタランチュラの唐揚げの残りをすべてロイに渡した。
三人は、冒険者の館を出ると、それぞれの場所へ帰っていった。
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