第259話 長野藤定2

長野藤定は長年北畠具教と争っていたが、近年は次第に劣勢に立たされていた。


北畠具教からはその次男である具藤を養子に入れて長野藤定の娘と結婚させて、跡を継がせて和議を結ぶように迫られていた。


そんな時に北伊勢4郡を瞬く間に席巻した織田信家からも誘いがあった。


長野藤定は今までいくさを続けて来た北畠堅城には少なからず恨みもある。


かと言って織田家の実力については未知数であり、北畠家と戦えるだけの力があるのか分からない。


そこで、織田家よりある提案があった。神戸家、関家も帰属化・又は滅ぼし、河芸郡と鈴鹿郡を手に入れる事で伊勢の6郡を支配した暁に、信長の同母弟信包を養子に迎え娘と結婚させて家督を継がせる提案だ。


織田家は既に尾張国、三河国、美濃国の3国を統治している、今や日の出の勢いの大領主だ。長野藤定はその提案に乗った。


その結果、過去に例のない16万人の兵を率いて河芸郡、鈴鹿郡を席巻した織田信長に帰属する事になり良かったと胸を撫で下ろした。


もし、織田家の提案にを断り北畠家に帰属していたらと思うとゾッとする。


どう考えても16万人の大軍に勝てる要素が全くない。しかも大砲や鉄砲、空を駆ける騎馬隊、ゴーレムなど何を取っても敵わない。しかも高岡城攻城戦で見せた奥の手さえあるのだ。


「おお、信包殿。宜しくな」

長野藤定は信包を温かく迎えた。


「こちらこそ宜しくお願いします」

面会前に養子の話を聞いた信包は武士の子として受け入れ決意を新たにしていた。


長野家の家臣を率いて俺の天下布武を手伝うのだ。


長野家の話を聞いて、神戸具盛が俺の子を養子にして、家督を継承させたいとお願いして来たので、ゆずの子信孝が大きくなったら養子に出そうと思う。


後は北畠具教を攻めるのみなのだが、神戸具盛、関盛信、長野藤定、その他豪族達からもそれぞれの兵を参戦させて欲しいと要望があった。


はっきり言うと足手纏いなのだが、歴史的ないくさについて来たいらしい。


別に歴史的ないくさのつもりは無いんだけど、爺さん達が集まった武将達に余計な自慢とか始めちゃって困るんだよねぇ。


織田軍以外で加わった武将と兵、伊勢で追加加入した武将と兵を整理すると下記の通りだ。


【追加加入】     21300人

飛騨国

 桜洞城・姉小路頼綱   300人

  桜洞城主・姉小路良頼の嫡男

近江国

 小谷城主・浅井長政  3000人

伊勢国

 河芸郡

  神戸城主・神戸具盛 3000人

  河芸郡の城主達   2000人

 鈴鹿郡

  亀山城主・関盛信   500人

  鈴鹿郡の城主達   2500人

 安濃郡

  長野城主・長野藤定 5000人

  安濃郡の城主達   5000人


16万人の織田軍の兵士に上記の兵を加えると18万人となる。


一方、北畠具教は父晴具の代から南伊勢5郡に加えて、志摩国・大和国の南部・紀伊国の東部・伊賀の南部まで勢力を伸ばしており、勢力内の領地から1万6千人の兵士を動員して、織田軍の侵攻に備えていた。


しかし、兵数に大差がある為、麾下の諸将を8つの城で籠城させて、北畠具教自身も居城の霧山城から大河内城に移り8千の兵で籠城した。


8つの城と城主は下記の通りだ。


今徳城主・奥山常陸介、

小森上野城主・藤方朝成、

木造城主・木造具政

曽原城主・天花寺小次郎

八田城主・大多和兵部少輔、

阿坂城・大宮入道、

船江城主・本田親秀、

岩内城主・岩内光安

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